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「椅子で眠るしか…」氷点下の寒さ、ストーブ求め トルコの避難所


 トルコ・シリア地震の被災地は、真冬に氷点下の寒さとなる地域が含まれる。トルコ側では被害は東部から南部の広範囲に及び、記者が8日夜に入った東部マラティヤは山岳地帯にあるため捜索活動が難航。避難民はストーブのないテントで寒さに震えている。

 マラティヤは人口約40万人。6日未明の地震発生後、2日間にわたって雪が降り積もった。記者が訪れた8日夜は晴れていたが、気温はマイナス8度。日中も氷点下の寒さだ。

 「3人が崩壊した住宅の中にいる。(機械で)人の体温を感知したが、捜索は進んでいない」。救援ボランティアのエルデム・コッチさん(38)は、マラティヤ中心部の現場でため息をついた。雪などの影響で重機の配置が遅れ、捜索を始めたのは8日夕方。「これでは、助かる命も助からない」とエルデムさんは憤る。行方不明者の生存率が大幅に下がるのは、地震発生から72時間とされるが、氷点下の寒さは生存者の体温を急速に奪う。捜索現場では、親族の救出を待つ少年が成功を神に祈り続けていた。

 数十メートル先では、7階建ての高層住宅も崩壊していた。懸命に捜索活動を続けているが、救助隊員は「生存反応が確認できない」と言う。行方不明者はトルコ東部ワン出身の女性(18)。地震発生の前日、この住宅に住む友達に会いに来たという。ワンから訪れた叔父のカスム・バルキルさん(46)は「(寒さのせいで)生存が難しいのは分かっている。それでも、最後まで手を抜かずに捜索してほしい」と訴えた。

 地震で自宅が崩壊した市民や、余震を恐れる多くの人々は避難所生活を余儀なくされている。公園などにテントが設置されているが、一部にしかストーブがなく、避難民は寒さに震えている。

 中にはストーブが設置された集会所もあるが、ベッドはなく、椅子で眠るしかない。「今はこの椅子が、私の家です」。飲食店員のムハレム・カラカシュさん(46)は、力なく話した。地震で築50年の自宅は崩壊。着の身着のままで逃げ出し、避難所にたどり着いた。だが、あまりの寒さにテントにはいられず、集会所に寝泊まりして3日目になる。「私は自宅や家具など、全ての財産を失った。そして、今はプライバシーすらない」。怒りの矛先は政府に向かう。「地震対策を怠った政府にはせめて補償をしてもらわないと困る」。ムハレムさんはそう語気を強めた。【マラティヤ三木幸治】

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