ＥＵ、環境技術強化へ新法案＝自国優遇の米中念頭

　【ブリュッセル時事】欧州連合（ＥＵ）のフォンデアライエン欧州委員長は１７日、環境技術分野におけるＥＵの競争力維持に向け、新法案を打ち出すと表明した。電気自動車（ＥＶ）などの生産で自国企業を優遇する米中が念頭にある。中国との通商関係については、「デカップリング（分断）よりもリスク回避に集中する必要がある」との認識を示した。 　スイスで開催中の世界経済フォーラム年次総会（ダボス会議）で明らかにした。フォンデアライエン氏は、ＥＵとして「サプライチェーン（供給網）全体を眺め、戦略的なプロジェクトに投資を集中させる」と強調。環境技術関連製品の生産拠点の新設に関し、許認可を簡素化することを盛り込んだ法案の提出を明言した。中期的にはＥＵによる資金援助の体制を強化し、技術革新を加速させると述べた。 　中国が環境技術分野で自国企業に多額の補助金を支給していることや、安価な労働コストと緩い環境規制をてこに、欧州企業に中国への移転を公然と働き掛けていると批判。「競争がゆがめられていると判断した場合は、ためらいなく調査に着手する」と警告した。 　海外勢に不利とされるＥＶ優遇策などを盛り込んだ米国の「インフレ抑制法」についても、「欧米間の貿易と投資における混乱を避けるべきだ」と改めて指摘した。　【時事通信社】