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避難先でつないだ地域文化=「やろう」消防団員の言葉契機―福島県双葉町だるま市


 東京電力福島第1原発事故後、福島県双葉町で初めてだるま市が開催された。代々受け継がれてきた大切な地域文化。途切れないよう、避難先でも開催を続け、つないできた人たちがいる。  「だるま市やろう」。きっかけは、町の消防団の一員で、いわき市に避難した人材派遣会社社長の福田一治さん(51)が仲間と酒を酌み交わした際に誰かが発した一言だった。子供から大人まで全員が参加する町の伝統行事。福田さんは「20歳の時から毎年携わってきた。なくしたくなかった」と振り返る。  事故から半年がたった2011年秋ごろ、仲間と有志団体「夢ふたば人(びと)」を設立。行事で使う道具を双葉町から運び出すなど、開催に向けて動き始めた。知らない土地でゼロからの準備に戸惑うことばかりだったが、地域の協力を得ていわき市の仮設住宅での実施にこぎ着けた。  以来、福田さんは費用の一部も自分で負担するなどして支え続けた。「本当に大変だけど、誰かがやって引っ張っていかないと知る人がいなくなってしまう」との危機感からだ。  そんな行動に胸を打たれたのが、事故前に長年だるまの絵付けを担い、同じくいわき市に避難した石田恵美さん(68)。「やろうと言ってくれる人の存在は貴重。だから私たちも頑張れる」と、13年から数人の仲間と絵付けを再開した。毎年10~12月にかけて作業し、今季は7人で約1000個を仕上げた。「『欲しい』と言ってくれるのがうれしい」と笑う。  町での開催に福田さんは「一つのゴールで、新しいスタートでもある」と語る。いまだに町外の避難者も多くいるほか、「被災後も続けられた感謝を伝える場」として、いわき市内でのだるま市も有志で続ける予定だ。「みんなふるさとから身一つで避難し、言い表せない喪失感がある。再会して思い出を語れる機会として、次世代にバトンがつながってほしい」と願った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕原発事故後もだるま市を支えてきた福田一治さん=2022年12月23日、福島県いわき市 〔写真説明〕福島県双葉町の特産品「双葉ダルマ」の絵付けをする石田恵美さん=2022年12月23日、同県いわき市
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