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仏教徒とイスラム教徒が共存=武装勢力のテロ続く紛争地―共通言語で交流・タイ南部


 イスラム武装勢力によるテロが絶えず、緊張が続くタイ南部に、仏教徒とイスラム教徒が手を携えて暮らす地域がある。パッタニー県サイカオ地区。両教徒は互いの宗教行事に参加し、豊富な農産物を公平に分け合う。タイ政府は「二つの信仰が共存する地域社会」と評価。アダム地区長は「誰もが平等に生活しているからこそ平和が保てる」と力説する。  人口の大半が仏教徒のタイにあって、南部はイスラム教徒が多数派を占める。パッタニー県などマレーシアに近い「深南部」と呼ばれる最南部は武装勢力が活発に活動しており、テロなどで多くの死傷者が出ている。  サイカオ地区は住民4270人の58%が仏教徒で42%がイスラム教徒。仏教徒とイスラム教徒の居住区が分離している他地区と異なり、両教徒が隣同士で暮らす。  宗教間の調和を目指すNGOのラマイ・マナカーン氏は、共存の秘訣(ひけつ)として言語を挙げた。タイ南部では仏教徒がタイ語や南部方言、イスラム教徒はマレー語を話す。サイカオ地区は両教徒とも南部方言を使うため、意思の疎通が容易で誤解を招きにくい。  サイカオ地区には両教徒が交流してきた長い歴史もある。17世紀に建てられたとみられる地区内最古のモスク(イスラム礼拝所)は、イスラム文化に不案内な仏教徒が設計したタイの伝統様式であるにもかかわらず、今もイスラム教徒が大切に使い、融和の象徴となっている。  「多文化社会のモデル地区」とも呼ばれるが、アダム地区長は「多文化というのは両教徒を分ける考え方で好まない」ときっぱり。「われわれは宗教に関係なく長期間、共存してきたサイカオ住民だ」と力を込めた。  こうして培ってきた調和も、いずれ崩れるのではないかと危惧されている。イスラム教徒と結婚した仏教徒の多くが改宗し、イスラム教徒の割合が徐々に増えているからだ。また、域外の宗教学校に通学するイスラム教徒の子供が増加。これらの子供たちは南部方言に代わり、学校で習うマレー語を話すようになった。かつてはほとんどいなかった髪を覆う布「ヒジャブ」を着用する女性も増え、イスラム化が少しずつ進む。  アダム地区長は「代々伝わる強い政治指導力で住民を率い、紛争をあおろうとする外部勢力から地域を守る」と明言。地域の安定を維持する強い決意を口にした。 【時事通信社】 〔写真説明〕タイ南部パッタニー県サイカオ地区で、インタビューに応じるアダム地区長=10月 〔写真説明〕タイ南部パッタニー県サイカオ地区最古のモスク(イスラム礼拝所)=10月
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