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交渉続け「安心供与」を=木宮正史・東大大学院総合文化研究科教授―朝鮮半島情勢


 ―情勢をどうみるか。  北朝鮮のミサイルは実際に日本を越えており、落ちて被害が出る可能性も排除できない。北朝鮮は核使用を法制化し、7回目の核実験も懸念される。(朝鮮半島有事の際に米国は)日本や韓国の米軍基地から攻撃するわけで、北朝鮮も(米国を狙う)戦略核より戦術核の方が使用の敷居が低い。日韓の安全保障上の脅威が高まっている。  ―抑止を強めるべきか。  日韓が抑止を強めることはこれまでもやってきたし、今後もやっていくべきだ。ただ、日本は財源をどこまでつぎ込めるのかが問題。そもそも抑止を強めることで北朝鮮が挑発をやめるとは考えにくく、「安全保障のジレンマ」に陥ることになる。軍事的脅威をいかに減らし、管理するかが課題だ。  ―過去から学ぶことは。  米朝の緊張が高まった2017年は日本の安全保障にとっても危険だったが、18年には韓国の仲介で米朝交渉が進み、脅威は減った。一連のプロセスで日本の安全が確保された側面がある。日本では、韓国主導の平和プロセスを好ましくないとする向きがあり、文在寅前政権に対し「北朝鮮の非核化をあいまいにしたまま、南北関係改善の雰囲気を醸成しただけだ」という評価が根強い。だが、その結果日本の安全が確保されており、再評価すべきだ。  ―尹錫悦政権の対北朝鮮政策をどう評価しているか。  尹政権の「大胆な構想」は、北朝鮮が非核化に向け少しでも踏み出せば、経済支援をし、米朝交渉の仲介役をする用意があるというもので、李明博元大統領の「非核、開放、3000」と発想は同じ。現状、抑止力の強化はもちろん必要だが、抑止しつつも北朝鮮に関与し、日米を説得して協力を求めるべきだ。  ―日本の役割は。  北朝鮮と交渉を続け、(脅威にはならないという)「安心供与」をすることが重要だ。日本政府は「(金正恩総書記と)いつでも会う用意がある」としているが、拉致問題を議論するという意味であり、「解決済み」との立場の北朝鮮は乗ってくるはずがない。また、核・ミサイルは米国との問題と認識している。唯一可能性がある日朝国交正常化交渉再開を呼び水にし、関与すべきだ。  ―米中対立の影響は。  6月には国連安全保障理事会で、北朝鮮制裁を強化する米国主導の決議案が、中国とロシアの拒否権行使により否決された。中国には北朝鮮を囲い込んでおきたいという発想があり、これまでのように日米と共に非難することができないのだろう。北朝鮮からすれば、制約から解放されることになる。核実験が行われた時に中国がどのような対応を取るのか、注目される。 【時事通信社】 〔写真説明〕木宮正史 東京大学大学院総合文化研究科教授
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