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小型で強磁場のNMR装置=冷却用ヘリウム減少防止も―アルツハイマー解明など期待・理研


 理化学研究所などは24日までに、非常に強い磁場で化学物質やたんぱく質の分析に高い能力を発揮する核磁気共鳴(NMR)装置を、重さ約1.6トンに小型・軽量化したと発表した。極低温で電気抵抗がゼロになる超伝導コイルの磁石を冷却するため、零下269度の液体ヘリウムを使うが、冷凍機を組み合わせて蒸発による減少を防ぐ工夫もした。  磁場の強さは23.8テスラ(T)。NMR装置は病院で検査に使うMRI(磁気共鳴画像装置)と原理は同じで、国内で普及しているMRIの3Tに比べ、約8倍もある。理研や物質・材料研究機構が2015年に開発した24TのNMR装置は約15トンと重かったが、高性能な超伝導コイルの割合を増やして10分の1に軽くした。  NMR装置メーカーの日本電子などとの共同研究成果で、グループにはアルツハイマー病を研究する東京工業大の石井佳誉教授も参加。原因となる脳内のたんぱく質凝集体の立体構造解明に今回の装置を活用する。今後は海外で商用化された世界最強の28.2Tを上回る30.5Tの装置開発を目指す。  NMR装置の超伝導コイルはニオブチタンやニオブスズの金属系線材が主流だが、磁場の強度は23.5Tがほぼ限界。これに対し、物材機構が発見して15年に開発した装置に一部使ったビスマス系銅酸化物の線材は、より強い磁場でも超伝導状態を維持できる。今回はこの線材のコイルの割合を大幅に増やした上、磁場と電流の相互作用による強大な力で壊れないよう精密に巻き、断面積当たりの電流を1.5倍に高めた。  液体ヘリウムによる冷却はコイル全体を魔法瓶のような円筒形断熱容器に入れて行う。それでも外部から熱が伝わって徐々に蒸発するため、冷凍機を組み合わせて防いだ。  理研の柳沢吉紀ユニットリーダーは「ビスマス系銅酸化物のコイルは高価だが、小型化したため全体としてはコストダウンになる。世界的な供給不足で入手困難なヘリウムが減らないメリットも大きい」と話している。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕理化学研究所の柳沢吉紀ユニットリーダー(左)らが開発した小型の核磁気共鳴(NMR)装置。非常に強い磁場で高い分析能力を発揮する(指さしているのは上部に組み合わせた冷凍機)=1日、横浜市の理化学研究所
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