台湾情勢、危険な不確実性高まる＝対中制裁の準備加速提言―米議会報告書

　【ワシントン時事】米議会の超党派諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」は１５日、１０月の中国共産党大会で異例の３期目に入った習近平総書記（国家主席）への権力集中に強い懸念を示した上で、「台湾海峡における危険な不確実性を助長している」と警告する年次報告書を公表した。台湾有事を想定した体制整備を行うよう米政府に初めて提言した。 　ペロシ米下院議長による８月の台湾訪問を受け、中国は前例のない規模の軍事演習で台湾に揺さぶりをかけた。習氏は台湾統一のために武力行使も辞さない構えを示しており、報告書は「独裁が強まれば台湾侵攻の時期が読みづらく、攻撃的になりやすい」と予想。２０２４年の台湾総統選や米大統領選を経て、台湾の独立に向けた機運が高まれば「紛争の火種になる」と警鐘を鳴らした。 　バイデン米大統領と習氏は１４日、インドネシア・バリ島で初の対面での首脳会談を行い、米中競争が軍事衝突に発展する不測の事態回避に向けて協議した。報告書も、習氏の暴走を阻止するには「誤算や誤解を減らすための首脳対話」が重要になると強調している。　【時事通信社】 〔写真説明〕北京のホテルに掲げられた米中の国旗＝２０１９年５月（ＡＦＰ時事）