新幹線生む溶接技術＝愛知の鉄道車両組立工―森勝利さん・現代の名工

　現代の名工に選ばれた愛知県新城市の鉄道車両組立工、森勝利さん（６０）は優れた溶接技術を持ち、１００種類以上の車両製造に携わってきた。リニア中央新幹線の試験車両を含む歴代の新幹線を生んだ経験を次の世代に伝えるため、後進の育成に力を注ぐ。 　父が建具職人だったことから、幼い頃からものづくりに興味があり、高校卒業後に「日本車両製造」（名古屋市）に入社した。「１枚の鉄の板がいろいろな形に化け、最終的に大きな電車になるのが面白い」と感じた。 　主に鉄道車両の外板や骨組みなどの製造を担当。溶接作業は気温や湿度などの変化を受けやすいため、ひずみが出ないよう独自の補助器具を開発するなど工夫を凝らしてきた。素材が鉄からアルミやステンレスに代わり、作業の難しさが増しても、「先輩のまねをするだけでなく、オリジナルを加え、新しいものを造ってきた」と振り返る。 　昨年までの６年間、工場を統括する「工長」を務め、現在は若手の人材育成を担う。技術指導で特に強調するのは「自分の仕事に興味を持つこと」だ。自分が造っている物に興味を持てば、それがどう使われるかが見えてくる。「工程を意識することで、作業の無駄や必要性に気付き、自分がすべきことを見つけられる」と話す。　（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕現代の名工に選ばれた鉄道車両組立工、森勝利さん＝８日、愛知県豊川市