「現状変えるには不十分」＝刑法要件見直しで支援団体―法制審試案

　法制審議会（法相の諮問機関）が２４日公表した、強制性交等・わいせつ罪の要件見直しに関する試案について、性暴力被害者の支援団体からは「被害救済の現状を変えるには不十分だ」との厳しい意見が聞かれた。 　ＮＰＯ法人「性暴力救援センター・東京」の運営委員、田辺久子さんは「被害者の意思に反した性交、わいせつ行為は罰せられるということをもっと明確に示すべきだ」と主張する。 　センターでは相談者が警察に被害申告をする際、支援員が同行する。相談者の半数近くは警察に行くが、被害届が受理されないケースも多く、裁判になるのは年間で数件にとどまるという。 　田辺さんは「被害者にとって法律の壁は高い。試案の内容は分かりにくく、救済拡大には不十分だ」と話した。 　富山県の市民や弁護士らでつくる「『性暴力のない社会』をめざす会」の小林涼子代表は、「同意がないことや、いかに拒絶困難だったかについて被害者が立証を求められる現状に変わりはない」と指摘。「被告が言葉で同意を得たのか明確にするのが筋。なぜ被害者が嫌だったことを自ら証明しなければならないのか」と語気を強める。 　一方、同会事務局の木村なぎさんは、親から子などへの監護者性交等・わいせつ罪に言及。「子供の周りには監護者以外に学校や塾の教師といったさまざまな大人がいる」と話し、対象拡大などの見直しを求めた。　（了）【時事通信社】