「もう憎くはない」と負傷者ら＝バリ島爆弾テロから２０年―インドネシア

　【ジャカルタ時事】日本人夫婦を含む２０２人が犠牲になったインドネシア・バリ島の爆弾テロは１２日夜（日本時間同）、発生から２０年を迎える。これに先立ち、遺族や負傷者らでつくる共助団体「イサナ・デワタ」はオンラインでイベントを開催。参加者らは、爆弾の製造に関与した服役囚について「もう憎くはない」などと、現在の心境を明らかにした。 　テロに自身も巻き込まれ、夫を失ったインドネシア人の女性は、２０１２年に禁錮２０年を言い渡された服役囚と先ごろ、政府の仲介で面会した時の様子を語った。服役囚が自分の前にひざまずき、泣きながら謝罪したと明かし、「困惑したが、『一緒に平和な国をつくっていきましょう』と伝えた。２人の息子のためにも、全てを忘れなければならない。もう憎くはない」。女性はそう言って、前を見詰めた。 　団体の実質的な代表者ティオリナ・マルパウンさん（４９）も服役囚らについて、「怒りはない」と述べた。服役囚が近く仮釈放される見通しとなっていることについては、「決まりに基づくものなので、反対することはできない」と述べるにとどめた。　【時事通信社】 〔写真説明〕インドネシア・バリ島で発生した爆弾テロの現場＝２００２年１０月、バリ島デンパサール（ＡＦＰ時事）