米大統領、政敵と「一時休戦」＝ハリケーン復興で協力―米中間選挙

　【フォートマイヤーズ（米フロリダ州）時事】バイデン米大統領は、大型ハリケーン「イアン」に襲われた南部フロリダ州フォートマイヤーズを５日に視察した際、政敵のデサンティス知事と協力する姿勢を強調した。これまでの激しい対立を一時的に棚上げし、被災地の復旧・復興での「共闘」を示した。 　「われわれの政治哲学は全く違うが、手を取り合って働いている。危機対応で完全に歩調を合わせている」。バイデン氏は記者団にこう語り、デサンティス氏との連携ぶりを誇示。「彼は素晴らしい仕事をしている」と称賛さえしてみせた。 　デサンティス氏もバイデン氏と一緒に被災者と面会し、バイデン氏の演説にも同席。「チームワークのたまものであり、支援に本当に感謝している」と謝意を示した。 　デサンティス氏は野党共和党の注目株で、２０２４年大統領選の候補指名争いで有力視されている。バイデン氏とは新型コロナウイルス対策や移民問題などでことごとく対立。不法移民をチャーター機で東部マサチューセッツ州の島に送るなど、物議を醸す言動で「ミニ・トランプ」と称されてきた。 　ただ、来月８日にはバイデン氏が中間選挙を、デサンティス氏も再選を目指す知事選を控える。このため、両者ともに危機管理能力を問われかねない災害対応では細心の注意を払い、協力姿勢を打ち出している。 　ＣＮＮテレビによると、ハリケーン「イアン」でフロリダ州だけでも死者が１００人超に達し、さらに増加する可能性が高い。沿岸部の住宅の多くが洪水で倒壊・浸水するなど、甚大な被害が明らかになりつつある。　【時事通信社】 〔写真説明〕５日、米南部フロリダ州フォートマイヤーズを訪れ、デサンティス州知事（中央）と話すバイデン大統領（右）（ＡＦＰ時事）