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「英国売り」に動揺拡大=世界金融不安の火種に


 【ロンドン時事】英国のトラス新政権が打ち出した大型減税に端を発し、金融市場に動揺が広がっている。通貨ポンドは対米ドルで過去最安値に急落。英国債や株式も売られ、「英国売り」の様相が強まった。「トラスノミクス」と称される新政権の経済政策が、財政悪化を懸念する市場から「ノー」を突き付けられた格好で、世界的な金融不安の火種として警戒されている。  トラス政権は9月23日に大型減税案を発表。ロシアによるウクライナ侵攻の影響で物価高や景気後退への懸念が強まる中、法人増税の撤回や所得減税の前倒しなどが盛り込まれた。英シンクタンクによると、減税規模は450億ポンド(約7兆円)もの巨額に上るが、税収減は主に国債発行で穴埋めするため、市場では「無制限の借り入れへの道を開いた」(オランダ金融大手ING)と厳しく受け止められた。  外国為替市場ではポンドが急落し、9月26日には1ポンド=1.03ドル台と過去最安値を記録。国債増発への懸念から英国債も売られ、10年債の利回りは約12年ぶりとなる4%台に跳ね上がった。株価も急落し、FT100種平均株価指数は4%近く下げた。  金融市場の不安は英国だけにとどまらず、欧州や米国でも金利上昇に拍車を掛け、株安、ドル高を後押しした。介入で一時的に円高方向に修正された円相場にも、再び円安圧力が戻った。英メディアは、資金運用で長期債を保有する多くの年金基金に打撃となり、危機的状況と伝えている。実際に破綻が相次げば、世界的な金融危機に発展しかねない。  金利急騰を抑え、市場の動揺を鎮めるため、9月28日にはイングランド銀行(中央銀行)が、長期国債の買い入れ策を急きょ決定。インフレ対策で進めてきた金融引き締め路線とは相反する政策にかじを切ることを余儀なくされた。  市場の動揺を招いたトラス政権の減税案には、国際通貨基金(IMF)からも「大規模で対象を絞らない財政政策は推奨しない」と異例の批判が上がった。それでもトラス首相は英メディアのインタビューで「経済成長のために適切な政策」と述べ、減税を見直す考えがないことを強調した。  格付け大手S&Pグローバル・レーティングは、トラス政権の減税案に対し「公的債務が膨らみ続ける」と指摘し、英国債の格付けを今後引き下げる可能性を示唆。他の格付け大手も同様の見解を示し、今後の格下げを警告した。 【時事通信社】 〔写真説明〕ロンドン中心部にある英イングランド銀行(中央銀行)=9月27日(AFP時事) 〔写真説明〕トラス英首相=9月23日、ロンドン(EPA時事)
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