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「母、会いたがっていた」=松本京子さん兄―日朝首脳会談20年・被害者家族らの思い(3)


 松本京子さん=拉致当時(29)=は1977年10月、編み物教室へ向かうと言って鳥取県米子市の自宅を出た後、北朝鮮に拉致された。兄孟さん(75)は最近、「自分が生きているうちに、妹やほかの拉致被害者の皆さんが助かるのか」と考えることが増えたという。「月日だけが流れてしまった。私にも焦りがある」と語った。  娘の帰りを病床で待っていた母三江さんは、2012年11月に89歳で死去した。家を留守にしている時に京子さんが帰ってきたら心配するだろうと、入院中も自宅に戻りたがっていたという。「母も年を取り、先が短いと分かっていたと思う。余計に会いたかったんだろう」と振り返った。  今年7月、安倍晋三元首相が奈良市内で銃撃され死亡した。孟さんは「これだけ拉致問題に長く取り組んでくれた政治家はいなかった。誰か代わってくれる人がいれば」と話した。  ◇「過去の話になってしまう」=田中実さん、級友ら危機感  神戸市の中華料理店の店員だった田中実さん=拉致当時(28)=は1978年6月ごろ、勤務先の店主に誘われてウィーンに出国し、行方不明となった。高校で3年間同じクラスの坂田洋介さん(72)は、解決への道筋が見えない現状に「拉致問題が過去の話になってしまう」と危機感を抱く。  同市内の養護施設で育った田中さんに身寄りはなかったが、高校のクラス担任だった渡辺友夫さんらが救出を呼び掛け署名活動に奔走。渡辺さんは2008年に75歳で亡くなり、長男の慎太郎さん(61)が坂田さんら当時の高校のクラスメートに連絡を取り、不定期で集まるようになった。  帰国への期待が高まった時期もあったが、結局何の動きも見られなかった。4年ほど前からクラスメートが集まることもなくなったという。慎太郎さんは「高齢化でどんどん亡くなっている」と嘆く。坂田さんも「関係者が亡くなり、誰も声を上げる人がいなくなる」と寂しそうに語った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕松本京子さんの写真を見詰める兄の孟さん=8月9日、鳥取県米子市 〔写真説明〕田中実さんの同級生、坂田洋介さん=8月24日、大阪市
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