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「透明性、規制委の命綱」=設立準備室長務めた森本さん―原子力規制委10年


 原子力規制委員会の設立準備室長や、発足後の原子力規制庁次長を務めた森本英香さん(65)は、発足前後の多難な時期を振り返り、「規制委は透明性と独立性が命綱だ」と語った。  環境省の官房審議官だった森本さんが、細野豪志原発事故担当相(当時)から、設立準備室長に指名されたのは2011年7月。帰還困難地域に残されたペットの里親探しに取り組んでいた時期だった。畑違いの仕事に戸惑いつつも、「やれと言われればやるのがスタンス」と引き受けた。  経済産業省、文部科学省、警察庁などとの寄り合い所帯。白羽の矢が立った理由を「マイルドな性格で、全く違う人たちが『呉越同舟』でやるのにちょうどいいと思われたのでは」と自己分析し、「一番苦労したのは役所間の調整だった」と振り返った。  準備室には、新たな規制の行方に気をもむ電力業界からも要望が寄せられた。森本さんは「非公開で聞けば、信頼は失われる」とすべてオープンにして対応。困惑したのか、陳情はなくなった。  規制委は12年9月に発足。森本さんは規制庁次長に就任した。新規制基準や防災指針改定などの懸案に追われる中、半年もしないうちに存立を揺るがす事件が起きた。  13年1月、日本原子力発電敦賀原発の敷地内活断層調査で、規制庁の担当幹部が同社側に公表前の報告書案を手渡した。公開対象外だった「儀礼上のあいさつ」の場でのやりとり。幹部にも問題意識がなく、他の職員に話したことが判明のきっかけだった。  「公表前に明るみに出れば、規制委はアウト」。危機感を抱いた森本さんは、この幹部から直接事実関係を確認。すぐに臨時記者会見を開き、幹部は更迭処分となった。規制庁は「あいさつ」も含め、複数の職員が立ち会うよう改めた。  約2年間次長を務めた後、森本さんは環境事務次官などを経て、現在は早稲田大で環境法などを教える。  発足から10年を経た規制委について「透明性は維持できている。本音で話せないという声も聞くが、裏で話し始めたとたんに存在意義を失う」と強調。世間から事故の記憶が薄れる中、「科学にちゃんと基づいているという自信がよりどころ。科学のみによって、はね返すべきははね返せるかどうか、今が正念場だ」とエールを送った。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕原子力規制委員会の設立準備室長や、発足直後の原子力規制庁次長を務めた森本英香さん=5日、東京都港区 〔写真説明〕原子力規制庁の幹部が公表前の資料を日本原子力発電幹部に渡した問題で、記者会見する同庁の森本英香次長(当時、左)=2013年2月1日、東京都港区 〔写真説明〕「原子力規制委員会」の設立準備室の看板を掛ける細野豪志原発事故担当相(右)と森本英香室長(当時)=2011年8月26日、東京・霞が関
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