畜産支援１２３億円を過大算定＝農水省のＴＰＰ対策―検査院

　関税が削減・撤廃される環太平洋連携協定（ＴＰＰ）をめぐり、畜産農家らの収益力強化に向けてつくられた農林水産省の基金を調べたところ、支援金約１２３億円が過大に算定されていたことが１４日、会計検査院の調査で分かった。検査院は同省に対し、資金を有効活用するよう基金管理団体への指導を求めた。　 　検査院によると、過大算定が見つかったのは「畜産・酪農収益力強化総合対策基金」の機械導入事業。生産コスト削減や畜産物の高付加価値化などに必要な機械を導入する際、費用の一部を補助する事業で、基金は２０１５年度に設置された。 　本来は、畜産農家らが事業への参加を辞退したケースなどを考慮しながら年度ごとの基金の積み増し額を決定する必要があるが、同省は辞退数などを適切に把握しておらず、２０年度末の同事業の基金残高約５０９億円のうち、約１２３億円はそもそも使われる見込みがなかった。 　検査院に対し同省は、基金管理団体の中央畜産会から実績報告書の提出がなかったと説明。畜産会も会計手続き上の問題で提出できなかったと話したという。 　農水省の担当課は「すでに執行状況を適時報告できるような体制に改善し、基金の積み増しも適正に行っている」とコメントした。（了）【時事通信社】