ゴルバチョフ氏、ロシアで厳しい見方＝「裏切り者」の声も

　３０日に死去したゴルバチョフ元ソ連大統領について、プーチン政権下のロシアでは厳しい見方が絶えない。２０２１年３月に元大統領の９０歳の誕生日に合わせて行われた政府系の世論調査では、５１％が「ソ連のことを考えていたものの、誤算があった」と回答した。 　ロシア通信によると、ロシア共産党のコロメイツェフ下院議員は「（ゴルバチョフ氏はソ連共産党）書記長ではなく、裏切り者。国家を破壊した」と断罪した。 　政権与党「統一ロシア」のモロゾフ下院議員は「特別軍事作戦のさなかに亡くなったのは奇遇」と指摘。故人を「不公正な世界秩序を生んだ人物」と呼んだ上で、それを改善するためにロシア軍が戦っているのだと主張し、西側との代理戦争の様相を示すウクライナ侵攻を正当化した。 　一方、歴史的な指導者として評価する声もある。ロシア政府の人権委員長を務めたフェドトフ氏は、冷戦を終結させるとともに「人類を核戦争の瀬戸際から救った」と功績をたたえた。 　侵攻直後に解散させられたラジオ局「モスクワのこだま」の名物編集長で、ゴルバチョフ氏とも交流のあったベネディクトフ氏は「歴史的人物というだけでなく、神話になった人物とも言えるのではないか。私は（元ソ連）大統領というより、友人を失った」と落胆を隠さなかった。　【時事通信社】 〔写真説明〕３１日、モスクワのゴルバチョフ財団本部に設置されたゴルバチョフ元ソ連大統領の遺影（ＥＰＡ時事）