海域情報不十分だったか＝カズワンの運航記録分析―知床観光船事故・運輸安全委

　北海道・知床半島沖で２６人が乗った観光船「ＫＡＺＵ　Ｉ（カズワン）」が沈没した事故で、同船が岩礁などの障害物や海岸線といった海域の詳細な情報を得ることができない状況だったことが運輸安全委員会の調査で分かった。安全委が１０日、国土交通省海事局に対し、再発防止に有益な情報として提供した。 　カズワンは、自船の位置を確認できる「ＧＰＳプロッター」と呼ばれる装置を搭載。安全委がこの装置の航跡記録を確認し、海図上に表示したところ、岩礁などの障害物が示されず、航跡記録の一部は陸上にかかっていた。 　運航経路となっている知床半島の周辺は、交通量が多い海域に比べると利用可能な海図の縮尺が小さく、得られる情報に限界がある。この海域を航行する際は、詳細な海岸線や岩礁、水深などの情報を別の手段で得ることが望ましいという。 　また、カズワンが事前に運輸局に届け出ていた基準経路と異なるルートを航行していたことも判明した。復路で沿岸の景勝地に近づく基準航路になっていたが、実際は往路で接近していた。　 　解析したＧＰＳプロッターは、昨年６月までカズワンに搭載されていたもので、今年４月の事故当時の記録は未確認。国交省は提供された情報を基に、有識者による委員会で対策を議論する。（了）【時事通信社】