震災被害の海水浴場が再開＝避難指示区域で初―福島県楢葉町

　東日本大震災で壊滅的な被害を受け、閉鎖されていた福島県楢葉町の岩沢海水浴場が１６日、１２年ぶりに海開きをした。東京電力福島第１原発事故で一時避難指示が出された区域にある海水浴場の再開は初めて。 　岩沢海水浴場は、福島第１原発から約２５キロに位置し、震災前には年間約３万人が訪れ、地元サーファーらに人気だった。震災時の津波で監視塔や護岸ブロックなど施設のほとんどが損壊。直後に発生した原発事故で楢葉町全域に避難指示が出されたことから、手付かずのまま放置されていた。 　町の避難指示は２０１５年に解除され、町は海水浴場再開に向け１９年から施設の修復に着手した。今年３月末に工事が完了し、水質や放射性物質のモニタリング検査で問題がないことが確認できたため再開となった。 　町の担当者は「ほとんどすべてを一からつくり直す必要があった。当時の雰囲気を残しつつ、より利用しやすい海岸施設を建てた」と話した。　 　この日、娘２人と海水浴に訪れた同町の鎌倉桃子さん（３５）は「閉鎖前、今年１２歳になる長女がまだおなかの中にいるときに海水浴に来た。娘たちは初め波を怖がっていたが、だんだん楽しくなってきたようだ」と語った。 　海開き式に参加した松本幸英町長は「再びにぎわいのある観光地となってほしい」と期待を寄せた。（了） 【時事通信社】 〔写真説明〕１２年ぶりに海開きをした岩沢海水浴場＝１６日午前、福島県楢葉町