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逆風の中、理想へ道筋=保有国に増強の動き―ウクライナ侵攻、使用すら示唆・核兵器禁止条約


 核兵器禁止条約初の締約国会議は、ロシアによるウクライナ侵攻で「核の脅威」が世界的に高まる中での開催となった。各国では侵攻を受けて核抑止力を再考する動きが加速し、核軍縮には強い逆風が吹く。締約国は3日間の議論を通じ、目標とする核兵器廃絶の理想への確固とした道筋を示したい考えだ。  ◇軍拡傾向  「既にここ数年で軍拡の傾向が始まっていた」。国連の軍縮部門トップを務める中満泉事務次長はこう述べ、核廃絶をめぐる現状は「後退は否定できず、非常に難しい」と厳しい認識を示す。  核保有五大国の米英仏中ロは1月、「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」と訴える共同声明を発表。しかし、その裏で英国は昨年、「進化する安全保障環境」に対応するとして、保有する核弾頭の上限目標を180発から260発に引き上げる方針を公表した。  また、約350発の核弾頭を持つとされる中国も「核戦争の災禍に遭うのを避ける」と主張して核開発を推進。核弾頭搭載可能なミサイルの増強に加え、米国防総省は中国が2030年までに核弾頭を1000発まで増やすとみている。  国際NGOの核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)は14日、インド、パキスタンなど事実上の保有国も含めた核保有国9カ国が21年に核関連に使った費用が、前年に比べ9%増加したとする報告書を発表している。  ◇冷戦後最大のリスク  核軍縮に詳しい独ハンブルク大の平和研究・安全保障政策研究所のオリバー・マイヤー氏は「ウクライナ侵攻で核兵器の重要性が増したとの認識が広がっており、この(軍拡)傾向は強まるだろう」と強調する。スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)も13日発表した報告書で、今後10年間で、冷戦後初めて核弾頭数が増加に転じると分析した。  同報告書によれば、22年初頭時点の世界の核弾頭の総数は推計1万2705発。ピーク時から5分の1以下となったが、ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻に絡み核兵器の使用を示唆するなど、「核兵器が使われるリスクは冷戦のピーク時以来かつてないほど高まっている」と警鐘を鳴らす。  ロシアと合わせて世界の核兵器の9割以上を保有する米国では3月、核政策の指針「核態勢の見直し」(NPR)の概要に、核抑止力の維持が「最優先事項」だと明記された。バイデン大統領は核軍縮推進派だが、中国やロシアの脅威を前に、方針転換を余儀なくされつつある。  8月には核保有国や日本も参加する核拡散防止条約(NPT)再検討会議が開かれる。中満氏は第2次大戦後に「核兵器は人類を破滅させかねない」と強い共通認識が世界に存在したと指摘する。締約国会議やNPT再検討会議で「核兵器が使用された場合の非人道性にもう一度焦点を当て、核兵器は絶対に使用されてはならないものだと強調することが重要だ」と訴えている。 【時事通信社】 〔写真説明〕20日、ウィーンの会議で演説する、国連の軍縮部門トップを務める中満泉事務次長(AFP時事) 〔写真説明〕核搭載可能なロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)「サルマト」の発射実験=4月20日、北西部アルハンゲリスク州プレセツク(ロシア国防省提供)(AFP時事) 〔写真説明〕バイデン米大統領=9日、ロサンゼルス(AFP時事)
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