製鉄所の民間人救出訴え＝ウクライナ大統領「脱出に時間」―ロシア、日中の停戦発表

　【イスタンブール時事】ウクライナのゼレンスキー大統領は５日、ビデオ演説で、南東部の要衝マリウポリでロシア軍に包囲されるアゾフスタル製鉄所に取り残された民間人救出に向け、ロシア側との交渉を続ける姿勢を示した。これに対し、ロシア国防省は４日夜、民間人退避のため５日から７日までの日中、製鉄所への攻撃を停止すると発表した。 　ゼレンスキー氏はこの中で、避難場所となっている製鉄所の地下には「女性や子供もいる」と強調。地下から抜け出すにはがれきを除去する必要があるものの「特別な機材がなく、手作業で行われる」と指摘し、「脱出に時間がかかる」と訴えた。 　製鉄所からは３日までに、国連と赤十字国際委員会（ＩＣＲＣ）の仲介で１００人超が別の都市に退避。しかし、ロシア軍が３、４の両日、製鉄所に激しい攻撃を仕掛け、製鉄所からの避難は中断を余儀なくされていた。 　ウクライナのメディアによると、製鉄所で抵抗を続けるウクライナ部隊の司令官は４日、ロシア部隊が３日から製鉄所の敷地内に侵入し、２日間にわたって「血みどろの交戦」が展開されたと訴えた。 　一方、国連などは４日、マリウポリとその周辺地域から、計３００人を超える民間人を安全な場所へ避難させることに成功したと発表した。ゼレンスキー氏もビデオ演説で「３４４人が救出された」と述べた。ただ、製鉄所の民間人はこの中に含まれていないとみられ、ゼレンスキー氏は４日、国連のグテレス事務総長と電話会談し、製鉄所からの退避推進に向けた支援を要請した。　【時事通信社】 〔写真説明〕煙が上がるウクライナ南東部マリウポリのアゾフスタル製鉄所＝親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」が５日提供（ロイター時事） 〔写真説明〕ウクライナのゼレンスキー大統領＝４月２８日、首都キーウ（キエフ）（ＥＰＡ時事） 〔写真説明〕ウクライナ南東部マリウポリからバスでザポロジエに到着した避難民たち＝３日（ＥＰＡ時事）