アーム米上場の見直し要求＝英首相、ＳＢＧ首脳に直訴―報道

　【ロンドン時事】英紙フィナンシャル・タイムズ（ＦＴ、電子版）は３日までに、ソフトバンクグループ（ＳＢＧ）が進める傘下の英半導体設計大手アームの株式を米国で上場させる計画に対し、英政府が見直しを求めていると報じた。ジョンソン首相がＳＢＧ首脳に手紙を書き、ロンドンでの上場を検討するよう直訴したという。 　ＳＢＧはアームを米半導体大手エヌビディアに売却する予定だったが、英国や欧州連合（ＥＵ）の当局が懸念を示したことを受け、断念に追い込まれた。このため、株式を上場する方針に転換し、２０２２年度中にハイテク株中心の米ナスダックに上場する方向で準備を進めている。 　報道によると、英政府はこれに対し、ロンドン証券取引所に上場するよう働き掛けを強めている。首相官邸や財務省、デジタル・文化・メディア・スポーツ省など幅広い当局が関わり、ジョンソン氏もＳＢＧ首脳に書簡を送った。 　アームは英国を代表するハイテク企業で、ＳＢＧの買収前はロンドンで上場していた。ロンドン市場は金融株や資源株が多い一方、ハイテク株の乏しさが指摘されており、英政府はアーム再上場を市場活性化の呼び水にしたい意向だ。 　ただ、米国市場の方がハイテク株に精通する投資家が多く、資金を集めやすい利点がある。ＦＴによると、関係筋は「アームがロンドンに上場する可能性はほとんどない」と話しているという。　【時事通信社】