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クリミア帰属棚上げ提案=停戦へウクライナ譲歩―ロシア合意は不透明


 ウクライナのゼレンスキー政権は29日の停戦交渉で、ロシアが2014年から支配している南部クリミア半島の帰属問題棚上げを提案した。軍事的手段ではなく、ロシア側と今後15年間にわたって対話を続け解決を図るという内容。即時返還を求めない点では譲歩したことになるが、ロシアの「固有の領土」と見なすプーチン政権が同意して軍事作戦終了を決められるかは不透明だ。  ◇力で奪還せず  「政治・外交的な努力があるのみだ」。停戦交渉のウクライナ代表団を率いるポドリャク大統領府顧問は、クリミア問題解決の意義を強調した。  クリミア問題は、2月24日からのロシアによる侵攻の遠因となっている。8年前、ロシアに一方的に併合されたのに加え、東部ドンバス地方にも軍事介入されたことで、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に接近したからだ。  プーチン政権としては、ウクライナが将来、NATOに加盟するか、その後ろ盾を得てクリミアを軍事的に奪還するのが最悪の展開だ。クリミア併合時、国民に高揚感をもたらしたレガシー(遺産)が水泡に帰す。ウクライナがクリミア返還を企図して欧米を招待した国際会議を21年夏に開く一方、米国製対戦車ミサイルやトルコ製ドローンを調達したのはロシアに「挑発」と映った。  ロシアの思考はゼレンスキー政権もよく認識しているとみられる。29日にイスタンブールで再開した本格的な停戦交渉で、合意案の目玉としてクリミア問題棚上げを提案した。  併せて、ロシアの要求する「非武装化」は一蹴しつつ、いかなる軍事ブロックにも属さない「中立化」に応じる姿勢を示した。NATOに入らず、クリミアを軍事力で奪還しないという約束には、ロシアもなびく余地がありそうだ。  ◇解決は「プーチン後」  ただ、提案をかみ砕けば、ロシアの支配を15年間は黙認しつつも、ウクライナはクリミアについて「自国に帰属する」という立場を放棄しないことを意味する。  プーチン大統領は憲法改正で24年の次期大統領選から2期12年間、36年まで続投することが可能。提案に応じ停戦合意を結べば、15年後の37年までクリミア問題は未解決な状態が続く。任期中にロシア領と認めさせられない可能性が出てくる。  ロシア側は持ち帰った上で、今後の交渉で回答する見通し。そもそも停戦の条件として「クリミアでのロシアの主権承認」を要求しており、受け入れは容易ではない。逆にクリミアとその周辺で支配を強固にしようとロシア軍が攻撃を激化させたり、合意が結ばれてもウクライナ側の国民投票で否決されたりするシナリオも残されている。 【時事通信社】 〔写真説明〕29日、ポーランド南東部メディカに到着したウクライナ難民たち(AFP時事) 〔写真説明〕29日、ウクライナ北東部トロスティヤネツで、打ち捨てられたロシア軍の兵器(AFP時事) 〔写真説明〕29日、破壊されたウクライナ北東部トロスティヤネツの街に残されたロシア軍の兵器(AFP時事) 〔写真説明〕破壊されたロシア軍の車両の前に立つウクライナの兵士=28日、キエフ郊外(AFP時事)
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