気候変動リスク開示を＝上場企業に義務付け―米規制案

　【ニューヨーク時事】米証券取引委員会（ＳＥＣ）は２１日、上場企業に対し、気候変動リスクの開示を義務付ける新たな規制案を示した。温室効果ガスの排出量公表も求める。大企業には、自社だけでなく、サプライチェーン（供給網）の取引先企業も含む幅広い範囲を対象にした排出量算出を促す。意見公募を経て年内に最終決定し、２０２３年度から段階的に適用する。 　バイデン米政権が進める気候変動対策の一環。米企業による気候変動リスク開示の動きは広がりつつあるが、統一基準はなかった。ＳＥＣのゲンスラー委員長は、ルール整備により「一貫性があり、比較可能で、投資判断に有用な情報を提供できる」と説明した。 　ＳＥＣによると、気候変動リスクが事業活動、財務に与える影響や、リスク管理体制、温室効果ガス削減に向けた計画などを企業に開示させる。温室効果ガス排出量は、自社施設による直接的な排出に加え、使用した電力など間接的なものも対象に含める。 　産業界や野党共和党からは、反発の声も出ている。米商工会議所は声明で、「投資家にとって重要ではない情報の提出を要求している」と批判し、事務負担の増加に懸念を示した。共和党は、気候変動対策はＳＥＣの権限を逸脱していると主張している。　【時事通信社】