小売企業もロシア離れ＝経済制裁や物流混乱響く

　【フランクフルト時事】ウクライナに侵攻したロシアでの事業を停止する動きが、消費者に身近な小売業にも広がってきた。西側諸国による経済制裁や物流網の混乱が各社の事業継続を難しくしており、今後もロシア離れが続きそうだ。 　スウェーデンの家具販売大手イケアは３日、ロシア事業を一時停止すると発表。ロシアと同盟国ベラルーシですべての輸出入を中止するとともに、ロシアでの生産も取りやめる。同社は「戦争が甚大な人的影響を及ぼし、サプライチェーン（供給網）に深刻な断絶をもたらしている」と説明。欧米メディアによると、発表を受けてロシア国内の店舗には駆け込み客が殺到した。 　スウェーデンのカジュアル衣料大手ヘネス・アンド・マウリッツ（Ｈ＆Ｍ）もロシアでの販売停止を決めた。ロイター通信によれば、米スポーツ用品大手ナイキや仏高級ブランドのエルメスなどもロシアの店舗を一時閉鎖する。 　デンマーク海運大手ＡＰモラー・マースクが欧米による制裁措置のためロシア発着便の運航を原則停止するなど、ロシアでは物流の制約が強まっている。商品の輸出入が滞れば、事業継続を断念する小売企業が一段と増えそうだ。　【時事通信社】 〔写真説明〕ロシアにある家具販売大手イケアの店舗で列をつくる買い物客＝３日、ロシア・サンクトペテルブルク（ＥＰＡ時事）