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消費税還付、審査に限界=見過ごされた「猫30億円」―不正警戒で体制強化・国税当局


 多額の消費税の不正還付を受けたとして、イベント企画会社社長が1月下旬、東京地検特捜部に逮捕された。社長は展示用の猫の仕入れ代金として30億円近くを架空計上し、消費税2億円弱を還付申告。実態と懸け離れた不正申告がなぜ見過ごされたのか。背景には還付審査の現場が抱える「ジレンマ」がある。  消費税法違反容疑で逮捕されたのは「LA・Chatte」(東京都中央区)社長、鄭末広容疑者(70)。関係者によると、同容疑者はアメリカンショートヘアなど人気のある血統書付きの猫約350匹を購入したと申告。1匹の価格は数百万円で、中には1000万円としたものもあった。  実際には猫は存在せず、血統書は使い回しだった。同社の売り上げは多い年でも6000万円程度で、捜査関係者は「仕入れたとする数も単価も事業規模に見合わない」「ばかげた話だ。なぜ還付してしまったのか」と口をそろえる。  消費税は、仕入れ時に支払う税額が売り上げに掛かる税額を上回ると、差額の還付を受けられる。事業者は取引先や金額などを記した書類を提出し、税務署が整合性を審査。不審点があれば還付を止め、帳簿の提出を求めたり、事業所を訪ねたりするが、書類だけで不正を見つけるのは難しく、申告件数は年間約20万件に上るため全てを調査するわけにもいかないという。  一方で、還付が遅れれば納税者に迷惑が掛かる上、利子相当の「還付加算金」を払わなければならない。申告内容の精査と速やかな還付が同時に求められる現状に、国税幹部は「両立は容易ではない」とジレンマを明かす。  こうした状況を踏まえ、国税庁は1月、還付審査での調査の必要性や、還付保留が長期化する可能性について納税者に理解を求める文書を公表。昨年には不正還付に特化した「消費税専門官」を全国11税務署に置き、今年7月には東京など5国税局の内部にも配置して体制強化を図る。  2020事務年度(20年7月~21年6月)に摘発された法人の不正還付は総額約34億円。国税幹部は「不正還付は国庫金の詐取にあたる悪質な行為。正直者がばかを見ないよう、厳格に対処していく」と強調した。(了) 【時事通信社】 〔写真説明〕消費税の不正還付容疑で社長が逮捕されたイベント企画会社「LA・Chatte」が入るビル=1月21日、東京都中央区
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