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通商政策「脱トランプ」遠く=TPP慎重、関税維持―経済連携で中国に後手・米政権1年


 【ワシントン時事】バイデン米政権の発足から20日で1年。経済覇権を狙う中国に同盟国と団結して対抗する包囲網の形成を進め、国際協調路線への転換を図った。だが、トランプ前政権が連発した追加関税や禁輸措置は残したまま。今秋の中間選挙を前に国内雇用を優先する内向き志向も鮮明で、環太平洋連携協定(TPP)を含む自由貿易協定(FTA)に慎重姿勢を貫く。保護主義に傾いた通商政策の「脱トランプ」には程遠い。  貿易に端を発した米中の対立は、人権問題やハイテク分野へ本格的に波及した。米政権は北京冬季五輪を見据え、中国政府による新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧を理由に輸出入や投資を禁じる制裁を拡大。米国内ではウイグル産品の輸入を原則禁止する「ウイグル強制労働防止法」も成立した。  米通商代表部(USTR)のタイ代表は年頭所感で2021年を振り返り、「同盟国や友好国との関係強化」を成果として強調。対中国で共同戦線を張るため、先進7カ国(G7)や日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」を重視した。ただ、実態は前政権下で傷ついた同盟国との関係修復に追われた形だ。  焦点となったのが「トランプ関税」。バイデン大統領は「自滅的な関税合戦」を批判し、日本や欧州製の鉄鋼とアルミに上乗せされた制裁関税の緩和交渉を進めたが、対中国では維持した。貿易戦争が本格化した18年夏以降、米税関が徴収した中国の知的財産権侵害に対する制裁関税は約1200億ドル(約14兆円)に達する。  一方、新たな貿易協定交渉は封印した。新型コロナウイルス対策に注力するバイデン氏は「国内の競争力強化に投資するまでは新たな交渉に入らない」と表明。前政権下で発効した米中貿易交渉の第1段階合意を引き継いだものの、中国が米国産品を購入する目標の達成率は6割止まりで、今後の交渉方針は手探りが続く。  大胆な政策転換を避けた背景には「中間層のための外交」を目指す政権の大方針がある。自由貿易への反対が根強い中西部「ラストベルト」(さび付いた工業地帯)の労働者票を意識し、政府調達で米製造業を優先する「バイ・アメリカン」法令を強化した。トランプ氏のスローガンになぞらえ、国内からも「バイデン流の『米国第一』」(米戦略国際問題研究所)だと不評を買った。  USTR代表も務めたゼーリック元世界銀行総裁は「バイデン政権はグローバルな通商戦略を欠く」と苦言を呈す。米国の足元を見透かした中国はTPP加入を申請。国境を越えた電子商取引など「デジタル貿易」をめぐる多国間連携でも先手を打った。米政権は「インド太平洋の新たな経済枠組み」構想の具体化に近く着手するが、米国不在が続くアジア経済圏で指導力を発揮するハードルは上がっている。 【時事通信社】
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