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砂漠の新首都、エジプト大統領のレガシーづくりか?


【カイロAFP=時事】絢爛(けんらん)豪華な大統領宮殿、真新しい議事堂、格式高いオペラ劇場、広大な公園…いずれもエジプトの砂漠で建設が進む新首都の構想の一部だ。(写真はエジプトの首都カイロの東45キロで建設が進む「新行政首都」) 地平線には建設現場が林立し、アブデルファタハ・シシ大統領の壮大な都市計画の中核が姿を現そうとしている。 1000年の歴史を誇る首都カイロの東約50キロに位置する新首都プロジェクトは、急ピッチで完成を目指している。今月に入り、シシ大統領は12月に首都移転を開始し、「6か月の試用期間」に入るよう政府職員に指示した。 総事業費約450億ドル(約5兆1000億円)が見込まれる新首都の面積は、シンガポールとほぼ同じ約700平方キロ。2000万人以上が住み、今も肥大化しているカイロ首都圏の人口過密問題の解決策として期待されている。 シシ氏は2014年の大統領就任後、新首都建設を「新しい国家、共和国の誕生」と位置付けた。 ただし、公式には「新行政首都」と呼ばれる新都市は、ブラジルのブラジリアのように旧首都と競い合うのではなく、隣り合う大都市カイロにいずれのみ込まれると見る向きもある。 「私からすると、新首都は謎ですね」と疑問を投げ掛けるのは、フランス国立開発研究所(IRD)の所長、ガリラ・カディ教授(都市計画)だ。 「カイロ郊外にあるのにまだ誰も移住していませんが、数年のうちに拡大してカイロと融合してしまうのではないでしょうか。これだけの規模の人口密集を管理する問題が大きくなるだけです」■第1段階の住民は「最大200万人」 シシ大統領は大型インフラ事業に自らの威信を懸け、エジプト各地で新都市建設を進めている。 その中でも新首都は「最大のプロジェクト」だと工事を請け負う主要建設企業の広報担当者、ハリド・フセイニ氏はAFPに語った。プロジェクトの第1段階は「250平方メートル相当で、最大200万人の住民受け入れが可能だ」という。最終的には全体で600万人以上を擁する都市となる計画だ。 新首都は「スマートシティー」としてより快適なライフスタイルを提供し、最新鋭の病院や学校、大学も設置されるとフセイニ氏は誇らしげだ。まずは約5万人の公務員が移り住み、その後3年間で人口は倍増する見込みだ。 さらに45億ドル(約5100億円)規模のモノレール敷設事業により、新首都は大カイロ圏と結ばれる予定で、フランスの重電機器大手アルストムが2編成の車両を納入済みだ。また収容人数3000人の巨大なモスク(イスラム礼拝所)も2019年にすでに開設されている。■「歴史に名をとどめたい」大統領 一方で膨大な建設コストは、財政支出の優先順位として適切ではないと批判されている。エジプトでは人口1億200万人のうち3分の1が、貧困ライン以下で暮らしている。 カイロ大学のムスタファ・カメル・サイード教授(政治学)は、ほとんどの人々は新首都でアパートや住宅に住む経済的余裕などないと指摘する。 「(政府が)近代的とうたっている計画は、単に欧米の近代性を象徴するものをエジプトに移し替えることです。(中略)つまり高層ビルや幅広い道路、先進技術を所有しようというだけです」。しかし本当の意味での近代性とは、優れた教育を提供するなどの「責務を、政府が国民に果たすことを言うのです」。 古代エジプトのファラオ(王)の時代から「行政首都は統治者を国民から隔離する目的で設置されていた」とサイード氏は言う。 さらに歴代の大統領と同様、シシ大統領はレガシーを築きたいのだと同氏はみる。引き合いに出したのは、故ガマル・アブデル・ナセル大統領が率いたアスワンダムの大工事(1970年完成)だ。 「シシ氏は、権力の中枢をカイロから自分の名声が永遠に残る場所に移し、歴史に自分の名をとどめたいのです」【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/11/26-12:40)
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