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検閲、男性中心社会、原告に不利な司法…中国の「#MeToo」運動の壁


【北京AFP=時事】中国でも広がっているセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)告発運動「#MeToo(私も)」が、つまずきを見せている。インターネットに投稿しても検閲ですぐに削除され、男性中心社会や原告に大きな負担を強いる司法制度も立ちはだかっている。(写真は中国・北京の裁判所での審理を前に、支持者に付き添われて歩く周暁●<●はおうへんに旋>さん<左>) 中国テニス界のスター選手、彭帥さん(35)が今月、張高麗前副首相から性的関係を強要されたと衝撃的な告発をした。こうした告発が中国共産党の上層部に向けられたのは初めてだった。 だが、彭さんの訴えはすぐに中国のネット上から削除された。 世界中に広がった「#MeToo」運動が中国でも2018年に芽生えると、大学教授から受けた性的被害を明らかにする女性が相次いだ。 すると当局は、運動が大きく発展し制御できなくなることを恐れ、直ちにソーシャルメディア上で関連するハッシュタグやキーワードを検閲対象とした。「#MeToo」というフレーズは、今でも中国では検索できない。 著名なフェミニストが警察に嫌がらせを受けたり、勾留されたりするケースも多い。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(RSF)」によると、活動家の黄雪琴氏もその一人。今年9月、「国家転覆を扇動」したとして拘束された。 習近平国家主席は、女性は「社会の発展と進歩を促す重要な力」とうたうが、党の指導部は男性中心で、トップ25人の中央政治局委員のうち女性は1人しかいない。■「否定しさえすれば、無実を証明する必要もない」 中国では昨年、セクハラの定義を成文化した新法が可決された。だが、被害を告発する側は今なお大きな障害にぶつかっている。 「自分がうそをついていないことと(中略)訴えが売名行為ではないことを延々と証明し続けなければならないのです」。性的被害を訴えたことのある女性は、嫌がらせを受けることを恐れて匿名でAFPの取材に応じ、こう説明した。 だが、告発された男性側は「とても簡単」だ。「自分はやっていないと否定しさえすれば、無実を証明する必要もないのです」と女性は話した。 世界自然保護基金(WWF)の職員、王琪さんは、上司から無理やりキスされ、繰り返し嫌がらせを受けていたとネットで訴えた。だが2018年、相手から報復的に名誉毀損(きそん)で訴えられた。 裁判所は、王さんの訴えは証拠不十分だと判断し、「うそを広めた」として男性に謝罪するよう命じた。 過去に国営テレビ局でインターンをしていた周暁●(●はおうへんに旋)さんは、司会者の朱軍氏に体を触られるなどの被害を受けたと訴訟を起こしたが、北京の裁判所は今年、証拠不十分として棄却した。逆に周さんは朱氏に名誉毀損で訴えられた。 米エール大学法科大学院が5月に発表した研究結果によると、裁判所は原告に対して、訴えられた側よりもはるかに強力な証拠を提出するよう求める一方で、友人や同僚など原告に近い人々を証人として認めないことが多い。■性的不品行が明るみに出るのは政府に都合が良い場合 中国政府は、セクハラの訴えが政府にとって都合が良い場合には、もみ消しを図ることはない。 今夏、中国の電子商取引(EC)大手アリババ(阿里巴巴)の女性社員が、出張中に上司や取引先の相手から性的暴行を受けたと訴えた。この事件は、国内メディアで広く取り上げられた。 規制当局から強い圧力を受けていたアリババは、問題の上司を解雇。「あしき」社風を一掃することを約束した。 だが、ほとぼりが冷めると、警察はこの事件を不問とした。 汚職で除名処分を受けた共産党幹部は、性的不品行でも告発されることが多い。政治闘争で失脚すると、こうした行為が犯していた罪の一部として初めて明らかにされるのだと、中国のフェミニスト、呂頻氏はエッセーで指摘している。 「その場合、(性的被害を訴えた)女性たちは、失脚した人物の悪評の証拠として利用される」【翻訳編集AFPBBNews】〔AFP=時事〕(2021/11/25-14:50)
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