南北通信線、２カ月ぶり再開＝韓国「改善期待」、北朝鮮「課題解決を」

　【ソウル時事】韓国統一省と国防省は４日、北朝鮮との南北通信線を利用した連絡が同日午前９時（日本時間同）に再開したと明らかにした。北朝鮮が通信線での連絡に応じたのは２カ月ぶり。金正恩総書記は９月２９日の最高人民会議（国会に相当）の演説で、断絶状態の通信線を今月初めに復旧する考えを示していた。 　北朝鮮の朝鮮中央通信は４日早朝の報道で、通信線を同日午前９時に再開すると事前予告。「南朝鮮（韓国）当局は、北南通信連絡線再稼働の意味を深く刻み、北南関係を収拾して今後の明るい前途を開く上で先決すべき重要課題を解決するために積極的に努力すべきだ」と強調した。 　北朝鮮は昨年６月に南北共同連絡事務所の連絡チャンネルや軍当局間の通信線を一方的に遮断した。今年７月に南北首脳の合意で一時的に再開したが、北朝鮮側が８月の米韓合同軍事演習に強く反発し、再び連絡に応じていなかった。 　韓国統一省は通信線再開について「朝鮮半島情勢の安定と南北関係の復元のための土台が整えられた」と評価し、南北対話の早期再開に期待を示した。ただ、北朝鮮が来年５月に任期を終える文在寅政権と本格的な関係改善を目指す意思があるのかは不透明。ミサイル発射など強硬策と組み合わせ、韓国側を揺さぶる狙いとの見方もある。 　正恩氏は９月の演説で「北南関係が一日も早く回復し、朝鮮半島に平和が訪れることを願う全民族の期待と念願を実現するための努力の一環」として、通信線の再開方針を表明。一方で韓国側に敵視政策の撤回などを関係改善の前提として要求している。　【時事通信社】 〔写真説明〕４日、韓国と北朝鮮を隔てる軍事境界線沿いの非武装地帯（ＤＭＺ）周辺で、再開した南北通信線を通じて北朝鮮当局者と話す韓国軍当局者＝韓国国防省提供（ＡＦＰ時事）