さて、YOKKAさんの連載もこれが最後となりました。最後は、私自身が大切にしていることを今までの経験を踏まえてお話ししようと思います。
仕事のこと、家族のこと、友人やパートナーのこと…
自分自身を作り上げる要素を考え始めるとキリがありませんが、その向き合い方や最近思うことについて、読者の皆さまに共有したいと思います。
40歳に差し掛かった頃からでしょうか。仕事が順調で右肩上がりになったと同時に、忙しさもマックスになりました。それを解消しようと、人を雇ったり、展示会の回数を減らしたり...。
ここまで来れたことへの嬉しさの反面、いつまで頑張り続けるのか、この状態をキープしなければという不安と葛藤は続きました。
もちろん、好きなことを仕事にし、対価として得られ、生活ができる。本来とても幸せなことです。しかし、モノを生み出すというバイタリティは若い頃は体力が勝っていても、年を重ねるに従い、色々なものが衰えていく自分に気づくのです。
経験値があり引き出しも多くなった分カバーすることはできますが、それでいいのかという懸念がずっと続きました。考えすぎてしまうんですね。
しかも、アパレル業界はコロナ前から景気が悪くなる一方でした。お金を回収する大変さも常につきまとっていたのも事実。事業を開始し良い面もありますが、見たくない面も沢山ありました。
3年前、 頑張り続けた自分を一旦お休みし、働き方をスローにする決心 をしたのです。
モノ、コト、人は有限だということ
命あるもの時間は有限
働き方を変えた理由は他にもあります。15年連れ添っている愛犬<TOI>の存在も大きかった。
今まで苦しい時、幾度助けられ、支えてもらい、気持ちを和やかにさせてもらったことか。彼女の存在なしでは、ブランドの継続も厳しかったかもしれません。老犬になり一緒に過ごす時間、もっと彼女を見守る時間を増やしたい。
命あるモノ、時間は有限 です。彼女と過ごす何気ない日常が、今は愛おしく、かけがえのない日々に変わりました。
まぁ、今の彼女の食欲を見ると、今すぐでは無かったのですが...(笑)
パートナーとの関係を築き上げる時間
人との関係を築き上げることは、努力が必要です。そして コミュニケーションが何よりも大切 。
私は、仕事に没頭し始めると他が見えなくなり、気持ちに余裕が持てなくなります。
これからの人生を思うと、パートナーとの関係も大切です。
働き方をスローにすることで、時間を作り、関係性を良好に保つようにしています。
ここは、有限ではないということを祈って(笑)
両親との時間を大切に
以前より帰省することが多くなったのも、高齢になった両親との時間を持つためです。
仕事が忙しかった時は、両親や家族のことは、つい、後回しにしてしまうことも。
ですが、この数年は帰るたびに小さくなる両親。
少しでも長く顔を見ておこう、色々な話をしておこうと、こまめに連絡を取り、気にかけるようになりました。
両親との時間も無限ではありませんから。
歳を重ねると、自分の中の優位性が変わってゆきます。
限りある時間の中で、どれが一番大切か。それに気づくことができれば、もっと豊かに過ごせるのではないでしょうか。
そして、始めたコト(仕事)も、いつかは終わる時が来るのです...。
自分にも地球にもちょうどいい生き方
よりよい未来を考えながら、スローなペースで1年でも2年でも提供してゆける。
自分の経験や感情から生じる、地球にも人にも優しいデザイン。
人間らしい、暮らしに溶け込むファッションを目指してゆきたい。
そう、これが仕事に対して私の辿りついた答えです。
ファッションに関しては、私にしかできないデザイン、一枚一枚丁寧にしつらえ、顔の見えるモノづくりへの特化。それが、地球も慈しむことに繋がると信じています。
そして、この目指す働き方は、なにも1つとは限らない。今までのスキルを活かして、2つ3つ掛け持ちしながらでもいいと思っています。
あと10年、15年働くために、自分を追い込まない。
ちょうどいい生き方ができればいいのです。
大事なコトはどんなモノでも、全体のバランスと調和。世の中のモノ、コト、人との関係性も距離感とバランスだと思います。
自分の心を乱す執着はなんですか?
今までの自分にさようなら
この執筆中、以前書いたブログを読み返していたのです。すると、面白いことに気づきました。
ちょうど1年前、今年の抱負なんて内容のものを書いていたのですが、
2023年、今年もインタビュー記事で同じような内容を記事にしていたのです。
笑ってしまうくらい同じ内容を。
https://note.com/cest_pas_grave/n/nfd0866cf2d3c
そして、今も寝る前に昨年も聞いていた様なBGMを聴きながら、眠ったりなんかして。
可笑しいですよね。また同じことを繰り返している。
昨年書いていたことなのに、徐々に忘れて...。
「意外と強い責任感、頑張り屋の自分を今はお休みし、今年は、のらりくらりでちょうどいい。それぐらいの気構えでちょうどいい。眉間に皺をよせ、肩を上げての働き方は止めよう。」
昨年書いた言葉。そしてこれが私の心を乱す根源です。
強すぎる責任感と真面目すぎる頑張り屋の自分。
新しい自分にこんにちは
実は、今月の〖女性に優しいサロン〗でもこのような題材が出ました。 人生の先輩からの言葉。これからの人生の指南になるヒントが沢山詰まった回 でした。
https://note.com/cest_pas_grave/n/nfdab5323fe2c
伺った内容に習って、私も一筆書いてみました。
やはり書道はいいですね。
小一時間ほどでしたが、背筋がピンと伸び、意識が自然と集中できました。気持ちよかったぁ。
これを机の横に貼り、自分への言い聞かせとします。
今年こそ、手放せない自分にさようなら。
実は先月から、仕事のモノや家のモノを断捨離しているんですよね。若い頃に描いていた夢と、一つ一つ積み上げたモノを今度は降ろす。
人生の後半に向かって、新しい自分にこんにちは。
身軽に生きよ!
書き綴る習慣をつける
2年程前、 「これからの時代は、自分が思っていることをどれだけ相手に伝えられるか、何をどう思い、どのような未来のビジョンを描いているかが問われる時代になるだろう。」 と感じ、伝える力、表現する力を身につけたいと思いました。
それから「書く」ということを始めたのです。
もちろんECサイトの商品詳細も、伝える力が必要ですよね。
商品説明ではダメなんですよ。 お客様の心に訴えることが大切 なのです。
そして、ブランドサイトも、ただモノを売るサイトにはしたくなかった。小冊子を読むようにお買い物を愉しんで頂けるサイトを作りたかったのです。
その中のコンテンツの一つとして、 「その時に感じたモノ、コトについての想い」 を書き綴り始めました。
ブランドのこと、商品ストーリーやケア、自分ヒストリーに至るまで。
元々、自分の感情を表現し書くことに苦手意識がありましたから、最初はカッコつけた言葉を使ったりなんかして(笑)
ですが、慣れです。繰り返し続けることで、自分なりの言葉で書けるようになるんですよね。
今回書き綴っていたおかげで、1年前の、そして自分の気づきも得られました。
是非みなさんも、書くということを始めてみてはいかがでしょうか。
日頃のちょっとした日記でもいいと思いますし、自分の思いをこっそり書いてみるのもいいと思います。上手に書く必要もないですし、 自分のために思いを言葉に変えてみる のです。
記憶は上書きされます。
その時の想いを忘れないために。読み返した時の楽しい思い出として。
そして、嫌なことがあったとしても、一旦気持ちを落ち着かせ、大切なことへの道標にもなるでしょう。
出合いの場に感謝
私は、書いて発信していたからこそ、YOKKAさんに見つけて頂きました。
そしてそこから始まった、今回の新しいチャレンジ。
私のまだまだ拙い文章を、魔法の言葉で変えてくれたYOKKA編集部には、本当に感謝しています。私自身も今まで以上に勉強になりました。
そして、この新しい場を与えてくれたYOKKAのみなさま、本当にありがとうございました。
もちろん、読者の方への感謝も忘れません。
みなさまへ、ほんの少し人生のヒントになるものがあれば、心の隅っこに引っ掛かる程度に刻まれれば、幸いです。
これからも想いを書き続けます。
また別の場でお会いしましょう。
益田美代子
余暇プランナー
ファッションブランド「C’est pas Grave/セパ グラーヴ」のデザイナー。日々を楽しみながら、日常を心地よくするプロダクトを提案。『商品を売るだけのサイト』にはとどまらず『想いを伝えていけるサイト』として発信しています。ミッドライフにさしかかった私が今感じていることや経験してきたことをお伝えしていきます。みなさまと愉しいひとときを共有できれば、嬉しく思います!