クラウドERPの先駆けとして世界中で導入が進む「Oracle NetSuite」。導入企業はOracle NetSuiteにどんな価値を見出すのか。どんな効果を期待するのか。さらに、DXを進められずにいる日本企業は、Oracle NetSuiteを使ってDXをどのように成功へと導くべきか。日本企業のDXを加速させるOracle NetSuiteのポテンシャルについて、日本オラクル 執行役員 NetSuite事業統括 日本代表 カントリーマネージャーの渋谷由貴氏に話を聞きました。(聞き手:デジタルシフトウェーブ 代表取締役社長 鈴木康弘)
DX推進を阻害する日本ならではの考え方を払しょくせよ
鈴木:渋谷さんは主に中小企業の利用を想定したクラウドERP「Oracle NetSuite」の事業を統括されています。中小企業の経営者と話すことが多いと思いますが、大企業に比べて中小企業のDXが進まない理由をどう考えますか。
渋谷:理由は大きく2つあります。1つは、業務プロセスの標準化が不十分なこと。もう1つは、改革に踏み込めず、改善にとどまってしまうことです。
特に成長企業では、事業拡大とともに属人化した業務が蓄積されやすくなります。その結果、部門単位での最適化が進み、全体最適の視点が薄れてしまいます。部門ごとに独自の仕事のやり方を追求することで、多くの部門で全体最適の視点が見失われてしまうのです。こうした状況でDXに取り組んでも、成果にはつながりにくいのが実情です。既存業務をそのままデジタル化するだけでは、本質的な改革にはなりません。部分最適の状況を抜本的に見直さない限り、効率化や生産性の向上、さらに改革はなし得ないでしょう。

鈴木:属人化や部分最適は日本企業に多い印象を受けます。日本ならではの事情や要因があるのでしょうか。
渋谷:背景には、日本企業に根強く残る固有の考え方や文化があります。例えば日本企業の場合、経営者が現場の意見を尊重しがちです。その結果、現場の部分最適の考え方が経営者の意思決定に影響を与えてしまうのです。これが改革の足かせになっていると考えます。トップダウンで戦略を遂行する欧米企業にはない、日本ならではの特性です。
鈴木:過去の考え方にとらわれがちなのも日本企業ならではと感じます。
渋谷:その通りです。日本企業の場合、過去の成功体験にとらわれがちです。変化や方向転換を恐れる傾向が強く、DX推進の大きな壁となっています。特に現場を指揮する中間管理職の中には、日々の業務に精通しているが故に、変化を恐れて現状維持を望む傾向が見られます。変化を受け入れる組織文化が育たなければ、DXの取り組みは途中で止まってしまいます。
多くの日本企業は、これまで改善を重ねることで効率化を実現してきました。これは誇るべき文化です。しかしながら、現在のような変化の激しい時代においては、改善の積み重ねだけでは不十分です。大胆な改革に踏み出す覚悟が求められています。改革と改善の違いを理解し、経営者自らが変革に舵を切る必要があるといえるでしょう。日本企業がDXを成功させるには、その本質をしっかりと理解することが出発点となります。
鈴木:ITやシステムの考え方も、欧米企業と大きく乖離しています。
渋谷:日本企業はかつて、ERPなどの基幹システムを導入する際に、自社の業務プロセスに合わせてシステムをカスタマイズしていました。その結果、「システムがバージョンアップできない」「新たな要件に追随できない」「システム改修による影響範囲を把握できない」といった課題を抱えることになったのです。「負の遺産」として手を付けられずにいるERPを運用し続ける企業は今も決して少なくないでしょう。
システムを導入するときに考えなければならないのは、システムは「作る」ものではないということ。今後システムは『あるものを使う』という考え方への転換が不可欠です。これからのDX時代はクラウドの利用が前提です。すでに存在し、実績があるクラウドやSaaSを利用すれば、システムは常に最新の状態で、法改正などにも即時に対応できます。新たな要件に合わせて改修するといった時間とコストを投じずに済むわけです。システムを自社の業務に合わせるのではなく、自社の業務をシステムに合わせていくという発想こそが、DXを加速させる鍵になります。
自社の業務に合わせて作ったシステムは、初期投資が肥大化しかねません。運用コストも増加します。さらには、システムの陳腐化さえ招きます。こうしたデメリットがあることをきちんと認識し、「作る」システムの体制から脱却すべきです。しかし、多くの経営者が「作る」という考え方に依存し、「あるものを使う」という考え方に切り替えられずにいます。「あるものを使う」が前提の欧米企業のようなIT導入効果を上げられないのは、過去の業務プロセスに固執したり、システムは作るものという固定観念を捨てられずにいたりすることに起因するのです。
鈴木:とはいえ、「作る」を止めて「あるものを使う」だけを推進すればいいわけではありません。システムが闇雲に増えれば、運用コストは膨れます。異なるシステムが乱立することで管理の負荷も増大するでしょう。
渋谷:その通りです。専門のIT担当者が限られる中小企業の場合、複数システムの管理や運用は大きな負担になりかねません。クラウド同士を連携させるインテグレーションにも手間やコストがかかります。機能ごとに複数のシステムを導入するのではなく、業務に必要な複数の機能を連携させることを想定し、「オールインワン」型のプラットフォームの導入を検討することが重要です。システムの管理や運用に多大な時間とコストを投じるのは無意味です。その時間やコストを新規事業創出や利益拡大を生み出すためのリソースとして活用すべきです。システムに対する発想を少し変えるだけでも、DXの前進につながります。

「Fit to Standard」という思想の理解がDX推進の鍵に
鈴木:日本オラクルでは「あるものを使う」を全面に打ち出し、クラウドの利用こそがDXを加速させる起爆剤になると考えているわけですね。
渋谷:はい。当社では中小企業向けにOracle NetSuiteというクラウドサービスを提供しています。このサービスを導入することで、日本企業が抱える課題を抜本的に解決できると考えます。
鈴木:Oracle NetSuiteがなぜ、日本企業の課題解決に寄与するのかを教えてください。
Oracle NetSuiteが日本企業の課題をどのように解決するのか。渋谷氏と鈴木氏の対談の続きは、DXマガジンでお読みいただけます。ぜひご覧ください。
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