季節を問わず便秘やポッコリお腹など、ウエスト周りに悩みを持つ女性は多いのではないでしょうか?事実、20代〜50代の女性は男性に比べて3.6倍も「便秘」で悩んでいるという調査結果が出ています。一方の男性も、60代以降になると急激に症状を訴える人が増えているそう(H28年国民生活基礎調査より)。そこで今回は、いまや日本人の国民病とも認識されつつある便秘を予防・改善していく“腸活”ライフを、食事とヨガの側面からみていきます。
腸はただの消化器官じゃない!腸が持つチカラのおさらい
腸といえば私たちが摂取した食物を消化吸収し、排出する器官というイメージが強いですが、腸が持つ他のチカラをご存知ですか?臓器の中で唯一、脳からの指令がなくても動く臓器である腸は、消化吸収、排便を独自の判断で行っています。
また腸には体内の約70%の免疫物質が存在し、さらには別名「幸せホルモン」と呼ばれる神経伝達物質セロトニンは、その90%以上が腸内で作られているということが分かっています。便秘の予防・緩和目的だけでなく、腸内環境が整うということは、心と体の健康にかなり影響がありそうですよね。
便秘を予防するにはどうしたらいい?
多くの人を悩ませている便秘。近年、慢性的に便秘に悩んでいる方はQOL(生活の質)が下がり、寿命が短くなるとの研究結果もあります。“便秘をしない腸内環境作り”は健康的に長生きするための大切なポイントになりそうです。具体的にどんなことを実践すればいいのか、食事と運動の面からみていきましょう。
便秘予防に効果的な“腸活”ライフ 食事編
「便秘予防=食物繊維を摂る」ということは広く一般的な知識となり、意識的に取り入れている方も多いと思います。ところが、私たちの食物繊維の摂取量は年々減少傾向!摂取目標量18g〜20gに対して2010年以降は14g前後で推移し、かなり不足している状況です(※)。
積極的に摂取したい食物繊維ですが、その種類は水に溶けない『不溶性食物繊維』と、水に溶ける『水溶性食物繊維』があります。
【不溶性食物繊維】…穀類、野菜、豆類、キノコ類、果物、海藻、甲殻類の殻などに含まれ、胃腸で水分を吸収して膨らみ、腸を刺激して便通を促進
【水溶性食物繊維】…昆布、わかめ、こんにゃく、里芋などに含まれ、大腸内で分解されると、ビフィズス菌などの善玉菌が増え、整腸作用をもたらす
30年にわたり4万人以上の腸を診てきた医学博士 松生クリニック院長 松生恒夫先生によると、摂取目標を目指してやみくもに摂取すれば便秘予防に効果があるわけではなく、「不溶性2:水溶性1」の比率で摂取するのが食物繊維の黄金バランスなのだそうです。
※国民生活・栄養調査、厚生労働省より
黄金バランスで食物繊維を含んでいるのは“キウイフルーツ”
便秘予防にはバランスの取れた食生活を通して食物繊維を摂取すべきだと分かっていても、忙しい日々を過ごしていると栄養バランスを考えた食事を用意するのは大変ですよね。そこでオススメ食材としてご紹介したいのが「キウイフルーツ」。
キウイフルーツは食物繊維のバランスがよく、慢性的な便秘への効果があるとされている水溶性食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維を含む他の食材の多くは、不溶性食物繊維の割合が多いことがほとんどですが、キウイフルーツの場合は、不溶性食物繊維2に対して水溶性食物繊維1の割合で含まれています(※)。
キウイフルーツの食物繊維には、便の膨張と保水力をアップさせる働きがあることを示す研究結果もあり、意識的にキウイフルーツを摂ることで、便通の改善への効果が期待できそうです。
※ゴールドキウイフルーツ「ゼスプリサンゴールドキウイ」の場合
この夏トライしたい!“ソルティキウイ”レシピ
キウイフルーツは、半分にカットしたものをスプーンですくってなど、忙しい時にも手軽に食べられるフルーツの一つ。ですが、時には一手間加えたドリンクにしてみませんか?
食物繊維以外にも糖、カリウム、マグネシウム、カルシウムを含むキウイフルーツは、「一つまみの塩」を加えるだけで熱中症予防にも効果的な食材に変身します。この夏は“食べる点滴”として便秘&熱中症予防を一石二鳥で実践しましょう!
―材料/1人分―
1) グリーンキウイ:1個
2) 塩:0.5g
3) はちみつ:大さじ1/2
4) 炭酸水:100cc
5) ミント:お好みで
―作り方―
1) 皮をむいたグリーンキウイをカットしてスライドジッパータイプの袋に入れ、グリーンキウイの実をすり潰すように手で揉む。
2) 塩、はちみつを入れてさらにもみこみ、炭酸水を注いで混ぜる。
3) 袋からグラスに移してできあがり。
お好みで、ミントなどのハーブを加えるとさっぱりいただけます。
【レシピ監修】管理栄養士・(株)エミッシュ代表取締役 柴田真希さん
便秘予防に効果的な“腸活”ライフ 運動編
黄金バランスを意識しながら食物繊維を取りつつ、“腸ヨガ”を実践して、体の外側からも便秘予防対策をしてみましょう。腸のぜん動運動が弱まると、便秘の原因となります。
また、腸の働きは自律神経と深い関わりがあるといわれており、自律神経の乱れは睡眠の質の低下や気分が落ち込む、イライラするといった「なんとなく調子が悪い」といった不調を招くことに。便秘に悩んでいる方は、ストレスや生活リズムの乱れで自律神経のバランスが崩れ、腸の動きが鈍っていることも考えられます。
自律神経は背骨の近くを通っているので、背骨をねじるヨガポーズは自律神経を整えるのに効果的です。その際にお腹も一緒にねじることで、働きが鈍っている腸に直接刺激を与え、腸を活発にする手助けをしましょう。
三角のポーズ(トリコナーサナ)
ーポーズの取り方ー
1) 両足を大きく開きます。(目安は手首の下にくるぶしがくるくらい)両手を腰に当て、左の脚をやや内股にしてから、右の脚を足の付け根から外に回してつま先を真横に向けます。右の足のつま先と膝の向きは揃えておいて、痛みが出るようであれば、後ろの足の位置を調節しましょう。
2) 両足の裏を押して足を強く使いながら右脚の膝は常に軽く緩めておきます。
3) 頭頂を引き上げ続けながら骨盤を左に傾けていきます。
4) 両手をTの字に開いて胸を開き、左右に引っ張ります。右手の下に支えが必要であれば、ヨガブロックなどを手の下に入れましょう(寄りかからないように注意!)。
5) 肩は楽に首を長く保ちながら呼吸を続けましょう。反対も同様に繰り返します。
半分の魚の王様のポーズ(アルダ マツェンドラーサナ)
ーポーズの取り方ー
1) 両足を伸ばして座ります。右膝を立てて、左足をまたいで左腰の横に足裏をつきましょう。左膝を立てて、右腰の横に左足を引き寄せます(お尻が浮いてしまう場合は、左膝は伸ばしたままでOK)。
2) 左手で右膝を抱え、ゆっくり息を吐きながら、上半身を右側にねじります。
3) この姿勢を5呼吸キープしたら、吸う息で上半身を正面に戻します。
反対側も同様に行いましょう。
いかがでしたか?腸内環境が整っていると寿命も伸び、体だけでなく心も健康な日々を過ごすことができます。日頃の生活にほんの少し“腸活”習慣を取り入れて、便秘知らずのヘルシーボディーを目指しましょう!