いま、日本で一番「行きたい」と思われているライブや音楽フェスって、どれだと思いますか?
そんな気になる音楽シーンの“今”を、ちょっとユニークな切り口で調査したレポートが発表されました。使われたのはなんと、12億件以上もの“予定データ”。カレンダーアプリ「TimeTree」を使っている人たちが「このライブ行きたい!」「このイベントに予定入れとこ」と登録した情報をもとに、リアルな人気の動きを見える化したものです。
この調査を行ったのは、TimeTreeの社内研究機関『TimeTree未来総合研究所』。日々の暮らしの中に音楽がどんなふうに入り込んでいるのかを、日本だけじゃなく海外の動きも含めて分析しています。
結果、2024年に一番「予定に入れられた」アーティストはMrs. GREEN APPLE、音楽フェスではROCK IN JAPAN FESTIVALが1位に。さらに、海外ファンの予定からは、日本の音楽とアニメ、そして観光とのつながりも見えてきたようです。
データから見えてくる、ちょっとおもしろい音楽のトレンド。詳しく見ていきましょう。
「行きたい」が集まったアーティストはMrs. GREEN APPLE 音楽フェスではROCK IN JAPANが最多に
TimeTreeが12億件を超える予定データの中から、音楽関連の予定を抽出・分析した今回の調査。
「アーティスト名が含まれる予定」と「音楽フェス名が含まれる予定」の2つに分類し、どの名前が多く登録されていたのかをランキング形式でまとめています。日々の“予定”から浮かび上がる、リアルな人気の傾向とは——。
圧倒的登録数で1位となったのはMrs. GREEN APPLE

まずアーティスト部門で最も多く予定に登録されていたのは「Mrs. GREEN APPLE」でした。
登録数は2位の「あいみょん」と比較しておよそ2倍という大差がつき、圧倒的な人気ぶりを示しています。
また、Mrs. GREEN APPLEの予定登録を日別に見ると、ライブ開催日やチケット販売日を中心に登録が集中しており、音楽ライブがユーザーにとって“重要な予定”として認識されていることがうかがえます。
フェス部門はROCK IN JAPANがトップに

音楽フェスに関する予定では、「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」が1位にランクイン。
続いて2位に「SUMMER SONIC」、3位に「COUNTDOWN JAPAN」が入り、いずれも毎年大規模に開催されている人気イベントが上位を占めました。
どのアーティストを観に行くか、どのフェスに足を運ぶか——その選択は、日々の予定としてしっかりスケジュールに組み込まれ、多くの人の関心の高さを表しているようです。
身近な音楽の予定も多数

アーティストやフェス以外にも、予定データからは“日常の中の音楽との関わり”が数多く見えてきました。
特に目立ったのは、ピアノやドラム、ギターなど楽器の演奏に関する予定。なかでもピアノは登録予定100万件あたり1406件と、圧倒的な数が確認されており、習い事や練習の予定として定着している様子がうかがえます。
また、ライブ関連の予定も非常に多く、2020年以降のコロナ禍では一時的に減少していたものの、2024年にはパンデミック前の水準を超えて回復していることがデータからわかりました。

さらに、「COUNT DOWN TV」や「FNS歌謡祭」などの音楽番組の名前も多く登録されており、音楽を“観る”という楽しみ方も広く根付いていることが見えてきます。中には、アーティストとしても予定登録が多いSnow ManがMCを務める『それSnow Manにやらせて下さい』といった番組もランクインしており、音楽とバラエティの垣根を超えたテレビコンテンツへの関心もうかがえます。
海外ユーザーの予定に見えた、日本の音楽とアニメ・観光のつながり

日本の音楽シーンが注目を集めているのは、国内だけではありません。TimeTreeでは、韓国と台湾の海外ユーザーの予定データをもとに、日本の音楽がどのように受け入れられているのかを分析しています。
今回の調査では、世界でヒットした日本の楽曲を対象にした「MUSIC AWARDS JAPAN」の「TOP GLOBAL HIT FROM JAPAN」部門にエントリーされた100曲のアーティストをもとに、該当アーティスト名が予定タイトルに含まれているかどうかをチェック。その結果からは、音楽をきっかけに日本文化に興味を持っている様子が浮かび上がりました。

韓国ユーザーの予定には、日本の都市名が含まれているものが多く、日本への旅行や観光に強い関心を持っていることがうかがえます。台湾のユーザーも同様に日本の都市名を多く登録しているほか、「もののけ姫」「コナン」「アニメ展」といったアニメ関連の予定や、「日本語学習」に関する予定も目立つ結果に。
近年、海外で話題になる日本の楽曲の多くがアニメ作品とタイアップしている傾向もあり、音楽だけでなく、アニメや日本語、日本の観光地など幅広いカルチャーが海外ユーザーの予定に入り込んでいることがわかりました。音楽を入り口に、日本への関心がより広がっている様子が感じられるデータです。
「予定から見えるカルチャーの動き」TimeTree未来総研 所長のコメント
今回の調査を実施したTimeTree未来総合研究所では、「予定」という日常的な行動の中にこそ、人々の関心やライフスタイルが反映されると捉えています。
所長である深川泰斗氏は、調査を振り返りながら次のようにコメントしています。
「音楽はそれ自体が文化的な存在であるだけでなく、アニメや旅行、日本語学習など、他の文化と結びつきやすい要素を多く持っていると感じています。予定という行動データを通じて、それらがどう日常に溶け込んでいるのかを読み取ることで、これまでとは異なる切り口で音楽の広がりや可能性を捉えることができました。」
データとして可視化されることで、“好き”のかたちや広がり方がより立体的に見えてくる。
今回の調査は、単なるランキングを超えて、音楽を通じたカルチャーの動きを考えるきっかけにもなりそうです。
音楽の予定が映す、今の私たちの暮らし
今回の調査では、アーティストやフェスだけでなく、楽器の練習やライブ、音楽番組、さらにはアニメや旅行、日本語学習まで、私たちの日常と音楽がどれほど深く結びついているかが浮き彫りになりました。
「どのライブに行こう」「この曲のチケット発売日を忘れないように」「今度の旅行はこのアーティストの聖地へ」――そんな予定のひとつひとつが、カルチャーの今を形づくっているのかもしれません。
SNSの投稿や再生回数では見えてこない、「予定」という日常の足跡から読み取れる音楽の広がり。私たちが次に予定を入れるとき、そこにはどんな新しい音楽との出会いがあるのでしょうか。
※TimeTree未来総合研究所は、カレンダーシェアアプリ「TimeTree」を運営する株式会社TimeTreeの社内研究所です。
人々の予定データから社会の動きやライフスタイルの変化を分析・発信しています。