File no. 129
《 ETTINGER /エッティンガー》
日本では、春に新生活を迎える人が多い。
新しい出会いや挑戦など、一歩踏み出す季節だ。
春を控えた今は、来る暮らしに備えて、信頼のおける洋服や小物などの相棒を探している人も少なくないだろう。
今回は、そんな新生活を始める人、支える人、すべてのファッショニスタにオススメしたいレザーグッズの名門《エッティンガー》を紹介したい。
イギリスのロンドンに住むエッティンガー家は代々、英国軍の裁縫を担う職人の家系だった。
その誇りを持った丁寧な仕事ぶりが高い評価を獲得し、1934年にゲィリー・エッティンガーがレザーグッズの製造会社を設立。
常にエレガントで、英国でもっとも革新的なレザーグッズメーカーになることを志し、イギリス紳士に必要とされた革小物やアクセサリー、アタッシュケースなどをつくり続けた。
創業者の真っ直ぐな人柄や真摯に取り組むモノづくりへの姿勢。
そこから生み出される高いクオリティの製品は、着実にファンを増やしていった。
創業当初はピッグレザーやゴートレザーを使用した単色のレザーアイテムが主流の時代だったが、一歩先ゆく《エッティンガー》はいち早く馬具の鞍(サドル)に着目。
試行錯誤の末、外側には丈夫なブライドルレザーを、内側には柔らかいパネルハイドを使用するといった、コンビネーションのレザーアイテムを発表した。
1950年代に入るとこの画期的なアイテムは一躍注目を集め、高級レザーグッズブランドとしての地位を不動のものに。
ちなみに、馬具の鞍の人が跨がる部分には、雨や水が掛かっても大丈夫なように堅牢なブライドルレザーが使用される。
そして、馬の背中に当たる部分には、馬が痛がらないようにソフトなベジタブルタンニンレザーが使用される。
この2つのレザーを駆使したコンビネーションの革小物こそが、上記で説明した画期的な製品なのだ。
なんと、このコンビネーションを特徴とする革小物は、半世紀以上が経った今現在も「ブライドルハイドコレクション」として発売され続けており、写真の二つ折りウォレットもそのコレクシ
ョンの中の1つ。
英国紳士が愛した至高の魅力がしっかりと受け継がれているのだ。
創業当初から変わらず、最高級のレザーを用いてメイド・イン・イングランドを貫き、ハンドメイドにより最上級のレザー製品をつくり続けている《エッティンガー》。
その偉大な功績が認められ、1996年にチャールズ皇太子より王室御用達の証であるロイヤルワラントが授与されたのも頷ける結果だろう。