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【ブランドピックアップ〜縁日〜】100年続く染物店から生まれた、自然の暮らしの知恵が詰まった服。


岩手に拠点を置くブランド「縁日」は、100年以上続く染物屋から生まれ、祭り衣装や郷土芸能衣装の技術と知恵を現代に継承しています。このブランドは、自然と調和する暮らしの中で取得された知識をもとに、アウトドアウェアを製作しています。特に注目すべきは、東北地方の伝統的な野良着から着想を得た「SAPPAKAMA」という商品です。これは猿袴がベースとなり、動きやすさに特化したクライミングパンツのようなデザインが特徴です。また、縁日の製品には永久修繕サービスが付き、長く愛用できる仕組みがあります。地域資源を活用し、文化や自然への感謝を製品に織り込んだ「縁日」の活動は、アウトドアウェアの新しい価値基準を示しています。

自然の暮らしと調和し使われてきた祭り衣装・郷土芸能衣装の持ち味や技術を継承し、普段着として、そして道具として今に落とし込む「縁日」。岩手で100年続く染物屋から生まれたそのブランドが、アウトドアの違った側面を教えてくれた。

文字どおり“猿のように軽快に動ける”設計の野良着、猿袴(さっぱかま)をベースにつくられた渾身作「SAPPAKAMA」。野良遊びに、D.I.Y.に、部屋のゆったり時間にも。修繕して穿くと一段と雰囲気があがるポテンシャルの高さを持つ。

100年続く染物店から生まれた、自然の暮らしの知恵が詰まった服。

東北に我らが誇るべきブランドがある。伝統的な野良着をアップデートさせ、野に入るのに最適な現代の野良着を作り上げている「縁日(エンニチ)」だ。岩手で半纏や着物といった暮らしの道具を作ってきた老舗染物店から誕生。蜂谷淳平さんは釣りや野営といった遊びと、鹿踊りや狩
猟といった文化にある感謝や供養にも身を投じる自然派の探求者である。

コロナ禍に正式に自社ブランドとして確立させると、先人たちの暮らしの知恵を活かしつつ、現代的なデザインを備えたウエアを生むことに成功した。各アイテムがパーマネントコレクション(継続販売品)として生み出されているから、すべてが代表作なのだが、なかでも2019年グッドデザイン賞受賞の「 SAPPAKAMA」を作った功績は大きい。これは東北地方の伝統的な野良着である猿袴(さっぱかま)をもとに製作されたボトムスで、クライミングパンツのようなつくりが特徴。

名前の由来である猿のお尻にも似たカタチには、動きやすさなど、先人たちが東北の暮らしのなかで培った知恵と工夫により作り上げた機能美が備わっている。縁日の製品はデザイン、縫製、染めまで全工程を自社で行うことができるのも特筆すべきところで、ほとんどの製品に〝永久修繕〞というお直しサービスが付いている。

「東北地方では刺し子や裂き織り、ボロなどモノを大切にする文化が身近に根付いてきた」と長く使うことにこだわりを持つ蜂谷さん。修繕のほか、なんと染め直しまで一回無料でおこなえるというから、ファンが増え続けているのも頷ける。自然の恵みへの感謝、モノを大切にしてきた土地の暮らし、裂織や刺し子、郷土芸能や祭りといった様々な文化を受け継いで生まれる〝本物のアウトドアウエア。わかっているつもりだったが、機能を追求するだけが〝それ〞ではないことを痛感させられた。

祭りや自然との繋がりに並々ならぬ知識を持つ蜂谷さん。
自然が抱える問題を製品に変える動き「山ノ頂」や、放置林を整えたり、学びを通して文化を伝える「里山整備サポーターズ」などあらゆることに力を注ぐ。
猿袴の資料。秋田県阿仁地区のかつてのマタギ(狩人)が頼ったもんぺのデザインを取り入れた「マタギもんぺ」も人気作。
スノーピークとともに製作した「LOCAL WEAR」を再構築したサンプル品。
顧客とともに製品を育てていくことができる永久修繕サービス。
ブランドの定番トップス「山シャツ」の原型で何十年も前のもの。
老舗染物屋のルーツを活かし、様々な染色技法を製品に落とし込む。
岩手の郷土芸能「鹿踊り(シシオドリ)」を守る縁日。人が鹿の姿となり狩猟した鹿の命に感謝して弔う踊りであり、人が亡くなったときに鹿が人の命を供養するという踊りでもある。

縁日を手がける1918年創業の京屋染物店。

縁日のバックグラウンドである1918年から続く『京屋染物店』。先代が京都で染めを学び、かつては花街だったこの地に創業。以降、友禅染で着物や半纏などを手がけ、現在は「縁日」の製品もここで生まれている。

工場に入ると布一反を載せる12メートル以上ある台が目に飛び込む。
藍染めするための藍甕(あいがめ)。
縁日では樹液を採り切ったあとに切り倒されてしまう木の活用先のひとつとして漆染めを取り入れている。
半纏に染色する際に用いられる版。写真のとおり、かなり大きい。
永久修繕サービスのお直しも工場内で行われる。1日に僅かしか手がつけられないから順番待ちになることも。
製品のループやアイコンとして使っている残布に裂織(布を細く裂いてよこ糸を作り、一段一段織り込んで新たな布に再生する技法)を施したもの。
何度も直していくことで、ウィークポイントを見つけ、各モデルの細かなアップデートができるのも永久修繕のいいところ。
こちらは反応染料を用いたもの。いろんな染めのプロフェッショナルだ。
現在は蜂谷さんの兄が4代目を継いでいる。
染めたモノに洗いをかけていく。
それぞれの配置にエキスパートがいる。「個々の能力が高いから少数精鋭でできている」と蜂谷さんも誇らしげだった。
グラフィックデザインも社員が担っている。

広大な築200年古民家を改装した旗手店。

築200年の古民家を改装して作られたショップ「里山の縁日」 には服やセレクト雑貨を取り扱うだけでなく、食、祭に、ワークショップまで。一関・平泉のはずれにある広大な地に多くのヒトが集まっているようだ。

里山の風景を望むショップ、カフェ、ギャラリー、ワークショップのエリアを有するスポット。
京屋染物店・縁日が作る染物の衣服や、東北を中心に各地の工芸や食品を扱う。広大な敷地で観光スポットのよう。天気の良い日には軒下に置かれたアウトドアテーブル&チェアでも食事を楽しめる。
鹿革のポーチ(¥11000)や、鹿革の小物入れ(¥4400)はブランドの特別ライン「山ノ頂」の製品。害獣駆除された獣の皮を使用している。
店内の至る所に岩手の自然を感じる。まるでネイティブアメリカンの棲家に来たようなキブンになる。
岩手が誇る南部鉄器ほか、二戸郡一戸町の鳥越地区で作られているすず竹の弁当箱、作家の藁ほうきなど、手仕事、自然の恵みによってできあがるモノづくりのアイテムが多い。
対面にはカフェがあり、店内だけでもかなりの開放感がある。
縁日の製品がフルラインナップで並んでいる。
地元の食材を中心に使ったカフェ。天井が高くて気持ちがいい。
看板メニューの鹿肉カレー。

●『縁日』住所:岩手県一関市赤荻笹谷275 tel:0191-34-8030 open:11:00~17:00

文化を継いだ野良着の機能性こそが、アウトドア服の原点。

山で作業しやすいよう作られた服や、神輿を担ぎやすいよう作られた服。それらはどれもが機能的で、真のアウトドアウエアといっても過言ではない。そんな伝統やモノづくりを継承し今に落とし込んだ逸品たちをご紹介。

indigo HANTEN ¥25300

祭や職人絆纏を作り続けてきた京屋染物店至極の半纏で、スマホに配慮したポケットなど現代に必要な要素もプラス。もちろん自社でインディゴ染め。これに限らず1回染め直しが無料。

Indigo sashiko SAPPAKAMA ¥33000

江戸時代から火消し(消防)半纏などに使われるほど、丈夫で力強い一本刺子生地をインディゴ染め。リラックスした履き心地で、大きめのポケットもあり、作業シーンで使いやすさを誇る。

漆染のYAMA SHIRT ¥30800

東北で野良や山仕事のときに着られていた山シャツから誕生。擦れやすい部分にあらかじめ当て布をすることで補強しており、風合いに馴染む木製ボタンや、岩手の漆で染められた色味も秀逸。

KOIKUCHI ¥17600

お神輿を担ぐときに絆纏の下に着るため生まれたモデル。作業しやすいように斜めにカットされた袖口が鯉の口のようだったことから鯉口と呼ばれたという。涼しく着られる生成り生地を使用。

SAPPAKAMA ¥19800

こちらは1番人気となる通常色の猿袴。写真のグレーほか、生成り、紺、カーキ、黒をラインナップ。綿と麻の天然繊維で作られているため、使えば使うほど、生地がやわらかくなりカラダに馴染む。

マタギもんぺ ¥24200

かつての山岳のプロ“マタギ”が愛用したフィールドパンツ。大きな動きに対応するようヒップに大きなタックがあり、ユニークかつ洗練されたデザイン。股下から裾にかけて伸びるマチも◎。

HAKAMA-PANTS ¥27500

野良着、はかまに着目。オーガニックコットンデニムのノンウォッシュ生地を使用し、ゆったりとしたワイドシルエットで、リラックスウエアに近い穿き心地を実現。ネイビーと生成りの2色展開。

TENUGUI

知多木綿の手ぬぐい。(左)津軽地方のマタギがお守りとして使っていたもののモチーフ。サンスケ¥1760、(右上)岩手に伝わる郷土芸能のテキスタイル。ヘンバイバライ¥2200(右下)¥1760

残布を使った裂織小物

絆纏を作る過程で出る残布で製作。ボロボロになった服は生地を裂いて織り直し、再び使い続けていく裂織(さきおり)が施されたケース。サコッシュ¥8800、ポーチ¥6600、名刺入れ¥4400


(問)縁日 tel:0191-34-8030 www.ennichi-shop.com

Photo/Fumihiko Ikemoto Report & Text/Naoto Matsumura

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