冬キャンプの快適さを担保するために、重要なのがしっかりとした防寒。冬キャンプ慣れしたキャンパーさんたちは、どんなアイテムで寒さ対策をしているのでしょうか。そんな疑問をテーマに冬のフィールドで取材を敢行してきました。
玄人さんたちならではの、ツウなチョイスや、意外な防寒対策アイテムを教えてもらいました。寒がりさんは特に必見です!
※テント内での各種ストーブの使用は自己責任を伴います。使う場合は、換気とストーブのメンテナンス、適切なテントの選択、一酸化炭素チェッカーの設置など、十分な対策を行いましょう。
取材を敢行したのは、2024年12月13日〜15日に開催された「GO OUT CAMP冬2024」。この日の会場となった、ふもとっぱらは、ときおり冷たく強い風が吹き、夜には氷点下になる環境でした。風が強いゆえ焚き火ができなかったので、みなさんの多くはテントの中で暖を取っていました。
ユニーク機能を備えた、こだわりの薪ストーブ。
ウッドアンドバーンの「マイストーブ」
使い古された道具たちが、熟練キャンパーの雰囲気を醸し出していたepitaphさんのサイト。そこでまず目に入ったのがこの薪ストーブです。こちらは、韓国発の新進ブランド、ウッドアンドバーンのもの。かっちりとした作りと実用性、デザイン性の高さが感度の高いキャンパーさんの間でじわじわ人気が広がっているんだとか。
「この薪ストーブは、ブラウン管テレビのようなかわいい見た目と機能性の高さに惹かれて購入しました。冬は仲間とお酒を飲みながら、薪をくべて暖を取るのが至福の時間ですね。」
「特に気に入っているのが、この大きめな耐熱ガラスの窓。炎のゆらぎが目で見て楽しめるので、視覚的にもあたたかく感じます。よくある薪ストーブだと、煤でガラスが真っ黒になったりしがちなんですが、このストーブは二次燃焼する作りなので、不完全燃焼しにくく、クリアに炎を楽しめるのがいいですね。」
「個人的に惹かれたのは、薪ストーブの高さを出すためのこの台。収納時はストーブ本体をこの中に収められるようになっていて、コンパクトに積載できるようになっています。使用時は、薪入れになる点も機能美を感じさせますね。専用ケースも付いています。」
キャンプ人気で一昔前に比べて選択肢が大きく増えた薪ストーブ。これからデビューを考えている方は、耐熱ガラス窓の大きさや燃焼の良さ、収納運搬性にも着目してお気に入りの一台を選んでみましょう。
いつものチェアの暖かさがアップする、隠れた便利アイテム。
バリスティクスの「チェアキルト」
ミニマルワークスの大型ドームテントを開放し、外の景色を楽しみながらファミリーキャンプを楽しんでいたLELEさん一家。そのサイトで見つけたのは、永久定番アイテム・カーミットチェアの背面に取り付けられた、バリスティクスのシートウォーマーでした。中綿に、米軍から要請を受けALBANY社が開発した高性能な人工羽毛素材「プリマロフト」を使用するなど、スペックにもこだわられたアイテム。
「カーミットチェアは座面と背もたれが分かれているので、間の隙間から風が吹いて寒かったのですが、このアイテムのおかげで解決しました。離席するとき、スマホとかを座面の上に置いていても、隙間から落ちなくなったのも何気に便利です。」
「シートの外側に付ける構造なので、座って中綿が潰れない分、見た目よりあたたかいですよ。チェアの見た目をカスタムする楽しさも満足ポイント。ベルクロワッペンを貼れるようになっているので、お気に入りのブランドのものでチューンしています。」
こういった人気のチェアに対応したシートウォーマーがさまざまなブランドから展開されていますが、こちらのアイテムは、シートの裏面に付けるアイデアが目からウロコでした。防寒がファッションを兼ねている点もいいですね!
LELEさんのテントサイトはこちら
家用のラグでお座敷スタイルを手軽にランクアップ。
ノーブランドの長毛ラグ
ヒルバーグの名作テント「アルタイ」の中に快適なお座敷環境を作っていたsachiさん。フロアの上に毛足の長いラグを敷き、トヨトミ・ギアミッションの大型灯油ストーブで暖を取っていました。大判のラグを敷くだけで一気に家のリビングのようなくつろぎ空間に……。
「このラグは数年前ネットショップで見つけて、購入しました。敷いてみると思ったよりクッション性と保温性があって、あたたかさアップに効果ありでした。手触りも良くて、サイズもちょうどいいので、重宝しています。」
「テントのフロアが八角形なので、長方形のラグを敷くと、ちょうど入り口に玄関ができる点も気に入っています。ローコットからごろんとラグに移動して、ストーブであたたまるのが我が家の冬の朝です(笑)」
「これでも十分暖かいですが、底冷えが気になるときは、ラグの下に銀マットやエマージェンシーブランケットを敷こうかなと思っています。」
こういったラグはインテリアショップやネットで探してみると、さまざまなデザインや厚さのものが見つかるので、お座敷スタイルに挑戦してみたい方は、フロアのサイズを測り、テントに合ったものを探してみましょう。
冬キャンプの最終兵器か。プロ用ヒーターをアウトドア顔にカスタム。
ナカトミの「スポットヒーター SPH-110Q」
大型のドームテントの中で愛犬とくつろいでいたShinさん。テントの外には、見慣れないジェット機のエンジンのようないかついヒーターが……。テントの外から幕内に向けて強力なファンの力で熱風を送っているようです。
「これは、ジェットヒーターといって、工事現場や体育館といった、広い空間を効率よくあたためるための業務用暖房なんです。大型のテントを使っているキャンプ仲間に教えてもらいました。テントの外に置いている理由は中に置くと暑すぎるから(笑)。外から熱を送っても十分あたたかいので、大型ドームで冬キャンするときに重宝しています。」
「うちはナカトミという大手のものを使っています。もともとは、いかにも現場機材といったイエローカラーで、注意書きのステッカーなんかが貼ってあったんですが、サイトのテイストに合うようにグレーとブラックに塗り直したのが私のこだわりです。愛車をオールペンしたときに工場で一緒に塗ってもらいました。最強と言われているクルマ用塗料『ラプターライナー』で塗られているので、傷にも強いですよ。」
「燃料は灯油なんですが、ファンを回すのに電気が要るので、エコフローのポータブル電源に繋いで使っています。石油ファンヒーターの一種ですね。一見大きく見えるんですが、円筒型の灯油ストーブに比べて横幅がスリムなので、積載も意外にしやすいんですよ。」
意外なカテゴリにあった、アウトドアでも使える強力暖房。愛車とお揃いのカラーカスタムも◎でした。大型テントを持っている方は、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
収納性にもこだわる。キャンプに最適化した、オリジナルのこたつ。
M’sファクトリーのアウトドアこたつ(試作品)
清潔感あふれるグランピングスタイルのサイトで仲間と愛犬と、くつろぎの時間を時間を過ごしていたのは、デザインと機能にこだわられたウッド製のキャンプギアに定評のある、アウトドアガレージブランド、M’sファクトリーを営むKAZUさん。
同ブランドオリジナルのギアでコーディネートされた幕内で、まず気になったの、テントの中心に据えられていたこたつです。
「このこたつは試作中のアイテムで、今回のキャンプはフィールドテストも兼ねているんです。キャンプのテイストにマッチして取り回しの良い、こたつが欲しくて作りました。こたつ布団は市販の円形タイプのものが使えるように設計しています。」
「天板のこだわりポイントは、折りたたみ構造。真ん中でパタっと二つ折りにできます。クルマへの積載はしやすいに越したことはないですからね。」
「もちろん、ベースのテーブルも分解できるようにしてあります。熱源は、豆炭が使えるようになっていますが、市販するときには、電気ヒーターに対応したモデルや、湯たんぽ派のために熱源なしのモデルも展開する予定です。」
日本伝統の暖房家具こたつをキャンプに最適化したこちらのアイテム。正式な発売が待たれるところ。これは一度味わうと、出られなくなりそうですね。トイレのために仕方なく、意を決して外に出たら、「あら、星が綺麗」なんていう瞬間も冬キャンプの醍醐味だったりします。
あたたかさとスタイルにこだわって、冬サイトを充実させよう。
かんたんに取り入れられるものから、普通の発想では見つけられないものまで、さまざまなアイテムで、防寒対策を行っていた熟練キャンパーのみなさん。防寒にもさまざまなアプローチがあるのだなと改めて教えてもらいました。防寒とおしゃれさを両立している道具が多かったのも、みなさんのこだわりを感じた点です。
まだまだ冬キャンプのシーズンなので、すでに楽しんでいる方はもちろん、これから挑戦してみたい方は参考にしてみましょう。視点を変えれば、思わぬ防寒アイテムが見つかるかも?
Photo/Taizo Shukuri
The post 冬キャンプの防寒対策どうしてる? 玄人キャンパーたちのあったかギアにフォーカス! first appeared on GO OUT.