自分だけの個性豊かなキャンプサイトに欠かせないのが、オリジナルの工夫や、思い入れのあるアイテム、レアな逸品ギアの存在。こだわりの強いキャンパーなら、逸品と呼べるギアの一つや二つはなにかと持っているもの。
今回は、多くのキャンパーが集まったGO OUT CAMP vol.18の会場で、こだわり派キャンパー達の自慢の逸品を紹介。他ではあまりお目にかかれないレアなキャンプギアにフォーカスを当てていく。
ギアの整頓が楽しくなる、システマチックな収納バッグ。
キャンプをはじめると、マストになってくるアイテムが収納バッグ。使い勝手の良い収納バッグがあると、設営と撤収、次回の準備の効率が上がり、キャンプがより快適なるもの。
ヨコさん&ジョギーさん夫妻のサイトで見つけたこちらは、長野県軽井沢に拠点を置く、人気ブランド「WINDY AND RAINY(ウィンディーアンドレイニー)」の「バッグインフォーバッグス」。
防水に優れたグレーのX-PAC素材を贅沢に使用した、大中小のバッグは、いずれもしっかりとした作りで縫製も美しく、ウェルメイド感が漂う。
「これらは5つで1つのアイテムなんです。X-PACの生地はあえて光沢のある裏面を使用していて、汚れも拭きやすいのも気に入っています。手に入れたばかりで何を入れるか、わくわくしながら考え中です。」
最大の特徴は、そのネーミング通り、4つの収納バッグが大きな収納バッグに収まる点。それぞれの収納バッグに何を入れるか考えると、ピッタリ収納できるギアをさらに買い足してしまいそうだ。
中型サイズのバッグは、リッド部分がメッシュ素材になっているので、完全に水分を拭ききれていないカトラリーなどを収納するのに最適。各バッグのディテールにもこだわりを感じる。
キッチン系ギアや、ガス缶などの消耗品、調味料などをシステマチックに収納したいキャンパーにおすすめしたい逸品だ。
小ぶりでも目を引く、ニーモの隠れた名作テント。
所狭しとテントが並んだフィールドで目に飛び込んできたのは、ミニマルなスタイルで仲間たちとキャンプを楽しんでいた、ハヤブサさんのテント。
こちらは、軽量なドーム型テントに定評のある「NEMO(ニーモ)」の「アルチストーム2P」。インナーテントを立て、フライシートを被せる、2ウォールタイプの2人用ドームテントだ。
このサイズでは多めの4本のポールにより、中の空間は外から見た以上に広く感じる。
「床面積は2人使ってもバックパックなどを置く余裕があるので、ソロだとゆったり使える広さが気に入っています。広めの前室も、雨天時の靴の脱ぎ履きがしやすくて便利です。」
フライシートの入り口側にはウレタン素材のクリア窓を備え、その佇まいは近未来の乗り物のよう。フライシートを開けずとも中から外の様子をうかがえるので、便利なディテールだ。オレンジのフライ、ホワイトとブラックのインナーのカラーリングも相まって、どことなくフランスの新幹線「TGV」をほうふつとさせる……。
希少な国産木材を使用した、Made in Japanチェア。
次に訪れたのは、コットンのテントやタープ、ウッド製ギアで統一された、上質なナチュラルスタイルが印象的だった、スズキさんのサイト。その中で一際気になったのは、こちら。愛知発の新興アウトドアブランド「リアリーライフツールズ」の「RLTチェア」だ。ちょうど今月、グッドデザイン賞を受賞したことで話題となっている。
美しいジオメトリーのフレームには、有効な活用法が見出されていない現状を抱えた地元の国産材を使用。こちらのモデルには、希少な山桜の木が用いられている。オリジナルの国産ガイロープと真鍮製の自在でテンションをかける構造も新しい。
「このチェアの一押しポイントは、ハンモックのような座り心地ですね。後傾と前傾、どちらの姿勢にも追従する作りなので、腰を痛めにくく快適なんです。」
素材には、地元で織られたミルスペックの帆布生地「アーミーダックコットン」を使用。柔らかな素材感がありつつも耐久性に優れる。
各部には、真鍮製の金具が使用されていたりと、ディテールにも隙がない。チェア作りは安全性への考慮など多くのハードルを伴うので、ゼロから設計する気概を持ったブランドは稀。人気の定番チェアも良いが、他と違う個性的なチェアを求める方におすすめしたい逸品だ。
クラシカルな外観にサプライズを秘めた、2wayバッグ。
続いては、ポップなヴィンテージギアをゆるく取り入れたサイトが好感的だった、Tomさんのサイト。そこで存在感を発揮していたのは、人気ブランド「ロウロウマウンテンワークス」のフロントマン、谷口リョウタロウ氏が手掛けるバッグブランド、「holo(ホロ)」の「ランバージャックトート」だ。
メインファブリックは強撥水加工がされた丈夫なキャンバス素材。上質な本革製のハンドルや留め具があしらわれており、クラフトマンシップが感じる。さりげないブランドロゴやキャンプモチーフのアイコンもポイント。
そして、「ランバージャックトート」の最大の特徴は、両サイドのジッパーを開くと、グラウンドシートに変身する点。中に入れた荷物をそのまま広げられるので、ランチボックスやドリンクボトルを入れておけば、どこでもピクニックができそうだ。
「このギャップにやられました。ジッパーを開いたまま閉じれば、ポールや折りたたみチェアなどの長尺ものも運べて実用的な点も気に入っています。」
ライニング素材には、スタイリストの石川顕氏、アートディレクターのジェリー鵜飼氏によるユニット「ULTRA HEAVY(ウルトラヘビー)」オリジナルのテキスタイルを使用していることも見逃せない。
防水と防汚に優れたタイベック素材なので、デザインだけでなく機能面でも優れている。どう使ってどんな旅をしようか、想像力をかき立てられる逸品だ。
次のページではクラシックなキャンプスタイルにぴったりの逸品が続々!
山のようなシルエットが美しい、オランダの名門テント。
3人でグループキャンプを楽しんでいたNAEさんのサイトにあった、アーティスティックなシルエットが美しいこちらのテントは「ESVO(エスヴォ)」の「ベドウィン300」。エスヴォは、日本での認知はまだまだだが、今年ちょうど創業100年を迎える老舗ブランドで、職人がハンドメイドで1点1点丁寧に作り上げている。
「なんといってもこの後ろから見たシルエットの良さがお気に入り!コットン製だから重量はあるけど、風にも強くて安心感があります。」
実はエスヴォは、軍服や消防服にも採用されている、国際的ファブリックメーカーのテンケイト社が手がけるブランド。
テントに使用されているコットンは高密度に織られており、一般的なキャンバス素材とは一線を画す高品質さが光る。耐久性の高さはもちろん、コットンながら防水性も高いのも特徴。吸水することで織の隙間が埋まり水を通さない仕組みだ。
正面から見ると「ベドウィン300」の印象はガラリと変わる。ヴィンテージのロッジ型テントを思わせるチャコールグレーのフェイスが目を引く。
フロアは一体型で丈夫なターポリン素材で防水性は抜群。重量はあるが、快適性が高く秋冬の連泊に最適なんだとか。入口は両サイドにロールでき、入口を大きくオープンできる。
窓部分は、4枚のパネルをロールして開閉する作りで、上がメッシュ素材、下がウレタン素材となっている。光を取り入れやすく、温度調節も簡単そうだ。
オランダのテントは、細部まで作り込まれた良質なコットンテントがなぜか多い。オランダのバカンススタイルは、良いテントで連泊するキャンプが定番。そのため、長期の使用に耐えうるハイクオリティなテントを求める需要が高く、それを受けてテントも進化をしていった。
一生もののテントを求めるキャンパーにおすすめしたい逸品だ。
ヴィンテージスタイルを格上げする、ラギッドなランタンスタンド。
ヴィンテージのアイテムとオリジナルのギアで、完成されたシャビーな世界観を作り上げていた、ミヤモトさんのサイトで気になったのは、こちらのランタンスタンド。
一見ヴィンテージ品にも見えるが、こちらは2019年にスタートしたガレージブランド「ラマ」の人気アイテム「ギミック」だ。ラマは、本業である鍛冶屋の技術とノウハウを落とし込んだ、ラギッドなキャンプギア作りが特徴。
「ヴィンテージのランタンとの相性は抜群ですね。コールマンの軍用ランタンと組み合わせるとこんな感じ。こういう世界観が好きなんです。」
アイアン製の本体は、ハンドメイドで鉄を鍛えて作り上げる昔ながらの鍛治製法ならではの無骨さと表情がたまらない。ハンガー部分の優美な曲線と、ブラス製のパーツも相まって、西武開拓時代の空気すら感じさせる。吊り下げ高さと角度の調節も可能。
ちなみに、オプションのクランプパーツを使用すれば、テーブルなどにも取り付け可能。溶接部分にも溶かしたブラスが塗布されていたりと、こだわりを感じる。ヴィンテージランタンの魅力をさらに引き上げる1本だ。
組み合わせの妙により魅力を増した、コールマンのオールドバーナー。
最後は、ツウ好みのヴィンテージギアで洗練されたサイトを組んでいたYUTAさんの愛用ギア。
こちらは、「Coleman(コールマン)」のガソリンツーバーナー「425」の初代モデル。初期型は、1948年に発売されて以降1953年まで製造された、マニア垂涎の逸品だ。現行のガソリンツーバーナーと比べると小ぶりな大きさで、ソロやデュオでのキャンプに使い勝手が良く、積載もしやすいサイズ感。
「この初期型ならではの筒型のタンクに心惹かれて入手しました。後のモデル『425B』以降ではタンクが、もなかのように上下に合わせて溶接して作られているんですが、初期モデルだけは筒型の形状をしているんです。」
YUTAさんならではのセンスと工夫が光っていたのが、このウッド製スタンドとの絶妙なコンビネーション。実はこちら、ニューヨークの老舗カヌーメーカー「エセックスインダストリー」の名品「EIスツール」のシートを外したもの。オットマンとして人気のアイテムをあえて、バーナースタンドとして流用している。
サイズもぴったりな上、グリーンカラーとウッドの合わせが画になる佇まい。ギアの意外な組み合わせでオリジナリティを出す楽しさを教えてくれる好例だ。
個性的な逸品ギアが、サイトのオリジナリティを高める。
スタイルが確立されたキャンパーさんのサイトには、自分好みのサイトに行き着くためのヒントが多く散りばめられていた。広く認められた定番ギアも良いが、他とカブらないような個性的ギアに出会ったときの多幸感はひとしお。皆さんも、ぜひ自分だけの逸品ギアを探す旅に赴いてみましょう。
Report&Text/Yuki Akimoto
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