呼吸をするとき、よく鼻から吸いなさいといわれます。体育の授業でランニングでも鼻呼吸するように指導された人も多いはず。はたして、鼻から吸う理由は何なのでしょう? じつはこの鼻呼吸には意外な効果があることがわかってきました。鼻呼吸がよいとされる理由は血流量アップにあるのです。
鼻呼吸をすると一酸化窒素が増える
鼻呼吸をすると、鼻とそのまわりの副鼻腔でたくさんの一酸化窒素が作られます。この一酸化窒素が血液の流れをよくして、血液循環の調節に大きな役割を果たしてくれるのでした。
じつは一酸化窒素は血管の筋肉に作用して、毛細血管を広げる働きを持つありがたい物質。このため、鼻呼吸で一酸化窒素が増えると、血流量がアップするというわけです。
そこで、試しに息に含まれる一酸化窒素の量を測定器で調べてみます。まずは鼻をふさいで口だけで呼吸します。このとき、吐く息に含まれる一酸化窒素は、およそ36ppbでした。
鼻呼吸には血流量をアップする効果
続いて、口を使わずに鼻呼吸をして、吐く息に含まれる一酸化窒素を測定。すると、なんと一酸化窒素が49ppbに急増したのです。
さらに、なぜか鼻歌を歌うと一酸化窒素をもっと増やすことができるという最新研究を発見しました。そこで、鼻歌を1分ほど歌ったあとに一酸化窒素がどれくらい増えるのか計測してみます。すると、53ppbとさらに増加したのです。
その結果、毛細血管を流れる血液の量を計測してみると、実験前と比べてなんと2倍にもなっていました。さらにサーモグラフィで全身を撮影してみると、実験前と比べて指先までポカポカになっていることがわかります。鼻呼吸による血流量をアップする効果で、末端まで血液が循環するようになったわけです。
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