高額ながん治療薬として話題になっている「オプジーボ」は、免疫力を高める新しいタイプのメラノーマ治療薬です。これまでのがん治療薬といえば、がん細胞を攻撃する抗がん剤がよく知られています。しかし、この新しいタイプのメラノーマ治療薬は、免疫力を高めることでがんを抑えるのです。
免疫力を高めるメラノーマ治療薬
免疫力を高めるメラノーマ治療薬が承認されたのは2014年7月。申請から7か月という異例のスピードでした。しかも、2015年12月には肺がん治療薬としても承認されています。はたして免疫力を高めるとはどういう仕組みなのでしょう？
メラノーマの治療は、これまで腫瘍を切り取る手術が一般的。ただし、メラノーマは転移する確率が高いため、ほかの臓器に転移している場合は抗がん剤による治療が中心となっていました。
そこに登場したが、免疫力を高めるメラノーマ治療薬。通常はがんができると免疫細胞であるT細胞が出動。表面にあるPD-1というツノで、がん細胞を攻撃して死滅させます。
免疫力を高める副作用も存在する
ところが、がん細胞は攻撃から逃れるため、自身の細胞の表面にPD-L1と呼ばれるタンパク質を生成。PD-L1はPD-1と結びついてT細胞のツノを無力化。がん細胞が増殖が攻撃を受けないようにするのです。
ここでオプジーボは、PD-1とPD-L1の結合に割って入り、無力化されたT細胞のツノを解放します。T細胞によるがん細胞への攻撃を再開させるというわけです。これが免疫力を高めるメカニズムです。
ちなみに、免疫力を高めるメラノーマ治療薬の35例では、がんが小さくなった割合は23％。一時的な縮小を含めると半数を超えていました。ただし、免疫力が過剰になる副作用が存在することも報告されています。
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