3月26日、東京都内にて「食用油の新常識」に関するマスコミ勉強会が開催されました。勉強会には、北里大学北里研究所病院院長補佐中・糖尿病センター長でロカボ(=低糖質)提唱者である山田悟先生が「油脂こそはもっとも安全な栄養素」「オイルファーストという新習慣」についての解説を行い、タレントの有野いく氏、お笑い芸人の井上ステーキ氏と山中伸之氏を交えたトークセッションが行われました。
「ダイエットに脂質の摂取は悪」はもう古い!?
山田先生は、ロカボの生みの親として知られています。そして、今回の勉強会では新たに「オイルファースト」を提唱しました。「オイルファースト」は、「脂が一番の栄養素」と「食事の始めに脂を摂るメリット」という2つの意味を掛け合わせた言葉です。
「オイルファースト」のポイントは3つ!
①代謝アップ効果:朝に油を摂ると、1日を通してエネルギー消費が増え、
結果としてジム1回分の運動量に匹敵するカロリー消費が期待できる。
②血糖値の安定:食事の最初に油を摂ることで、食後の血糖値の急上昇を抑え、
食後の眠気や空腹感を軽減できる。
③脂肪燃焼が進む:体はエネルギー源として糖よりも脂肪を優先的に燃焼するようになり、
ダイエット効果が得られる。
「脂質の摂取は悪」と思われがちですが、実際には油を適切に摂ることで、
体脂肪の蓄積を防ぎ、健康的に痩せることができるのです。
山田先生は、『脂質こそはもっとも安全な栄養素だ。糖質は血糖値をあげたり太らせたりする。たんぱく質は腎臓に負担をかけるという説がある。脂質摂取には何の問題もないじゃないか』というアメリカの研究者の言葉を引用した上で、「この言葉を知るまでは、私自身も脂は控えるべき栄養素だとずっと思い込まされていました。」と語りました。
そして、様々なエビデンスとともに、学術的な視点から、
「オイルファースト」の効果を説明しました。
例えば、低糖質食を低カロリー食と比較した実験では、約300人の肥満者を集め、油を控えてカロリーも控えるグループ、オリーブオイルを中心に油はしっかりと使うグループ、糖質だけ控え油やタンパクは無制限のグループに分類したところ、一番減量に成功したのは、糖質だけ控え油やタンパクはしっかり食べるグループだったそう。脂も控えてカロリーも控えるというグループはなんと最下位と驚きの結果でした。
また、魚や植物性の油だけでなく、動物性の油もしっかり摂取して問題ないという研究も!
相関図では、肉やバターなど動物性の油の摂取が多いと脳卒中の割合が少なくなり、
逆に減らしてしまうと死亡率が上昇してこれはおり、
これは65歳以上の高齢者でより顕著でした。
今までの栄養学では、油を食べたら高脂血症になる、動脈硬化症になるといわれてきました。
しかしタイムというアメリカのニュース雑誌では、
1984年には「卵とバターを控えましょう」と書かれているが
2014年には「バターを食べなさい」と全く正反対のことが書かれています。
これらも含めると、「ダイエットに脂質の摂取は悪」は古い考えのようです。
「オイルファースト」のおすすめ実践方法
山田先生の講義後には、タレントの有野氏、ぽっちゃりお笑い芸人の井上氏と山中氏を交えトークセッションが開催されました。
トークセッションの始めに山田先生は、低糖質・高脂質の食事を取ると一日のエネルギー量が上がり、血糖値も安定するという観点から、「オイルファースト」の最も効果的な実践法として朝食での脂の摂取を薦め、その具体的な取り組み方として「朝オリーブ習慣」と「朝からあげ」を推奨しました。
その推奨を受け、普段から朝にからあげを食べることが多いという有野氏は、「朝からからあげを食べると話すと周りから驚かれますし、どうしてそんなにからあげを食べているのに体型を維持できるのかと不思議に思われることも多いんですけど、今のお話を聞いて、そういうことかと納得できました。」と語り、さらに「若くみられることも多く、実は今日のゲストの中で一番年上なんです。」と述べ、会場に笑いと驚きを提供していました。
また、ぽっちゃり芸人としてトークセッションに参加した山中氏は、「今まで何となく(ダイエットを)やってみたことはあるんですけど、全然続かなくて。もう太ってもいいやって覚悟でいっぱい食べる生活をしてきたので、これが本当なら“救世主”ですね。」とにこやかに語りました。
さらに、体重115キロの井上氏と105キロの山中氏が過去に試した“○○しか食べないダイエット”の経験を語ると、山田先生は「体重というのは生存本能みたいなもので維持されているので、カロリー制限だけで減量すると脳がリバウンドさせようと命令してきて、抗いようなく何を食べたくなってしまいます。」とコメント。そして、「『オイルファースト』というのはオイルの力で満腹になってからエネルギー消費を上げるという考え方で、朝に満足感を得ることで自然に体重が落ちていきます。」と説明しました。
それでも、今までタブーとされていた朝からの脂質摂取に困惑しているゲストに、山田先生から「朝食を取れば午前中からエネルギー消費を上げることができますし、朝食に脂を取り入れることで自ずと昼食の量が減るというデータもあります。実際に三食のうち、朝食のエネルギー摂取が高い層ほど痩せやすいという研究結果も出ています。朝食を抜けば痩せられると思いがちですが、その概念は捨てていただいて、朝からしっかり脂を摂り、後は満腹感に委ねれば、きっとうまくいきますよ。」とアドバイスの言葉が送られました。
朝におすすめのオイルと食べ方とは?
勉強会では、具体的な朝におすすめのオイルと食べ方も紹介されました。
• 朝食にスプーン1杯のオリーブオイルをプラス
• ヨーグルト+オイル+蜂蜜でまろやか&栄養満点
• お豆腐にオイルをかける(シンプルで美味しい)
• トーストにオリーブオイル(バター代わりに)
• 唐揚げ+レモン+オリーブオイル(減塩効果も!)
どれもオイルを追加するだけという簡単な方法でした。
勉強会の最後には、井上氏や山中氏を含む吉本の若手芸人による「朝からあげ&朝オリーブ習慣」のYouTube企画や日本唐揚協会とコラボした朝からあげキャンペーンなど、オイルファースト推進に向けた今後の取り組みも発表されました。今までの考えを覆す「オイルファースト」の新習慣!ロカボに続く新たな健康ムーブメントが楽しみです。