「お客様の確実な成果に特化したデジタルマーケティングカンパニー」を目指す『PLAN-B』が運営するメディア『エラベル』が、全国の成人男女1231人を対象に行ったアンケート調査「(大人が)なりたい職業」のランキング結果を発表していた。
1位はなんと!「(Web)ライター」(56人)で、2位以降には「公務員」(52人)、「医師」(46人)、「YouTuber」(38人)……などの職業が続いたという。
「え〜っ! オレの仕事が人気職業のトップですかぁ!?」
……と、比較的ネット社会と親和性の高い企業が行った調査である点を差し引いても、まずは仰天した。さらに、同記事内に抜粋されていた
「自分の時間配分で仕事ができ、自由な時間を増やす事ができて心も豊かになると思います」(男性:40代)
「誰かをちょっとクスッと笑わせる事ができる事ができる優しさと面白さがあふれた文章を書けるようになりたいため」(女性:20代)
「昔から文章を書く仕事に興味があった。(才能はさておき)歳を重ねても続けられるかな? と思ったから」(女性:50代)
……なんて風な「なりたい理由」を読んで、「ああ…やっぱ皆さん、相変わらずいろんな部分で(Web)ライターって仕事を誤解なされてますなぁ」と、つい苦笑してしまった。
おそらく(Web)ライターに憧れる大半の皆さまは、本棚が後方に敷き詰められた20畳くらいの部屋にあるひょうたん型のテーブルでカモミールティでも飲みながらMacBook Airのキーボードを叩いていたり、スタバの屋外テーブルでキャラメルフラペチーノでも飲みながら、六角形のメガネをかけたおしゃんてぃな編集者とMacBook AirにワイヤレスのイヤフォンをBluetoothでつないでリモートMTGをしている……みたいな我々の姿を妄想しているのではなかろうか? ちなみに、私は「禁煙席はありません!」と店員サンが淀みなく言い放つ喫茶室ルノアールで咥えタバコをモクモクと燻らせながら、一応費用対効果を考慮し、ルノアールでは一番安いブレンドコーヒー(600円・税込)一杯で4時間ほど粘り、あーでもないこーでもないと唸りながら毎日 原稿をシコシコ書いている。
とりあえず「歳を重ねても続けられるかな?」ってとこは一応正しいと思う。続けるという意志と、どうにか食っていけるだけの収入さえあれば、(Web)ライターに“定年”はない。
しかし、「自由な時間を増やす事ができる」とのくだりは完全に誤解である。我々にとっての“定年”とは、イコール「発注が一つもなくなる」というケースであり、そして、そういう絶望的な状況は明日にでも十分起こり得るわけで、それに対処するためには、たとえば旅行に行ってもスーパー銭湯に行っても帰省しても素敵なフレンチレストランで食事をしても飲み会や合コンに参加しても、男子同士で下ネタで盛り上がっても女子を口説いていても、常にそこから意地汚く“ネタ”をインプットせざるを得ない──だから、少なくとも私はライターになって約30年……頭から爪先まで“休暇”を楽しんだという実感を一度も味わったことがない。つまり「心が豊かになる」どころか、一日生きるごとに「心は貧しくなる」いっぽうなのである。
正直申して、私は自分の蓄積した情報と文章力を最大限に活かして、それをいかに効率よく一円でも高く売りつけることができる媒体はどこだろう……と、そんなことばかりをいつも考えている。そのためには、どんなクライアントの無茶な要望にも対応できるだけの、時には「白く見えるモノを躊躇なく黒と断じることができる」柔軟さと、その「黒と断じたモノがいっそう自然に黒く見える」ような表現技術をよりアップデートしていくしかないのだ。なんか「なりたい!」とおっしゃってくださっている方々の夢を粉々にブチ壊してしまいかねない生々しい銭の話ばっかで恐縮ではあるのだけれど、そこらへんの「(Web)ライターとお金の事情」に関しては、次回に詳細を述べてみたい。
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