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「ごはんを食べるためナプキンを諦めた」生理の貧困を “個人の我慢” で終わらせないために必要なこと




元日本テレビ解説委員で、現在は多くのメディアでコメンテーターを務める岸田雪子氏が、子育ての身近な悩みや課題を取り上げる新連載「岸田雪子のBloom Room(ブルームルーム)」。親子の笑顔の "つぼみ"を花開かせる小部屋です。今回は、話題のツイートから "生理の貧困"について考えます。



 



ドラッグストアでナプキンを手にとり、レジに目をやると男性店員しかいないと知った時、あの落胆と緊張が入り混じった気持ちはどこからくるのでしょう。

あるいは、女性の先輩が電話口で強い口調で話すのを見た男性の上司が、「きょうはイライラする日なのかもね」とニヤニヤしながらつぶやくのを見たときの、がっかり感と嫌悪感。

個室トイレに置かれた小さなゴミ箱に書かれた「汚物入れ」の文字に感じる違和感も。



 



定期的にやってくる身体の不調なのに、とてつもなくしんどい時もあるのに、口に出すことすら躊躇せざるをえない、というダブルの悩みを女性たちが抱えてきた「生理」

それがコロナ禍で、深刻な貧困問題として注目されるようになりました。



任意団体「#みんなの生理」が行ったアンケートで、回答者のうち5人に1人以上の若者が、過去1年の間に「金銭的理由で生理用品の入手に苦労した」と答え、「生理用品でないものを使った」人も4人に1人以上にのぼることがわかったのです。キッチンタオルなどで代用したりすれば衛生的にも問題なはずなのに、なぜか。



 



ひとつには、コロナ禍でアルバイトが減り、生活費を切り詰めなければならなくなった大学生たちの困窮があります。

学生だけではないでしょう。そもそもコロナの影響を受けやすい飲食系などサービス業に従事しているのは女性が多いという構造的な偏りがあるため、女性の貧困問題が「生理の貧困」として、あぶりだされたとも言えます。

これを「個人の問題」として片づけてよいはずがありません。



 



経済的困窮だけではありません。

父子家庭に育ち、父親に言い出しにくい子。あるいは、ネグレクトの傾向のある家庭では、生理用品を手に入れることが難しい子も決して少なくありません。

コロナ以前からあった「生理の貧困」がようやく可視化された今、個人ではなく「社会の貧困」問題として、支援する枠組みを作る必要があるでしょう。



 



世界に目を転じれば、スコットランドでは去年11月に、生理用品を学校などの公共施設で無料配布することを義務化する法案が成立。

ニュージーランドでも小学校から高校までの全学校で生理用品の無料配布を決めています。

日本でも、東京都豊島区で防災備蓄用のナプキン等を区役所などで配布する動きもあります。

一時的な対応ではなく、小学校から高校、国公私立の大学でも無料配布することなどを、恒久的な制度とするよう動いてほしいと思います。



 



なんとなく生理を「恥ずかしいこと」と捉えて、政治が正面から向き合ってこなかったことが、今の困窮につながっているとも言えそうです。

生理は決して恥ずかしいことではなく、生理用品は自分の身体を守るための必需品

そう堂々と語り合え、支え合えるきっかけが、このコロナ禍に生まれて欲しいものです。

そしてそのことを幼い頃から子どもたちにも、性別を問わず、あたりまえのこととして伝えていきたいですね。


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