■サラダ味の「サラダ」はサラダ油から
スナック菓子の味のバリエーションとして、数多くの商品が販売されている「サラダ味」。とくに、亀田製菓が手掛ける「ソフトサラダ」は、おせんべいの定番となっていますよね。しかし、ソフトサラダを食べてみても、野菜サラダの風味を感じることはありません。ではなぜ“サラダ”という言葉が商品名に入っているのでしょうか。
亀田製菓の公式ホームページによれば、ソフトサラダなどの“サラダ”は、サラダ油のことだそうです。なんでも、サラダ油が高級品だった1960年代に、サラダ油と塩を絡めたおせんべいが作られるようになったとのこと。その当時は、ただの「塩味」として売り出すよりも、洋風の「サラダ油」のほうが、人々にとってはおしゃれに感じられていたそうです。
そうして名付けられたサラダ味のおせんべいは、既存の醤油味と比較すると、目新しくかつリッチなイメージを与えることに成功して人気となり、そしてついには、スナック菓子の味の定番となっていきました。
ちなみに、英語の「サラダ」はラテン語の「SAL=塩」が語源とされています。かつて、肉料理の付け合わせだった新鮮な野菜に、塩をかけて食べていたことが由来なのだそうですよ。
■じゃあサラダ油の「サラダ」って?
ここで気になるのが、サラダ油がなぜ“サラダ”なのかということですよね。「日清サラダ油」などの商品で知られる日清オイリオのホームページによれば、生野菜などにかけて、そのまま食べられる油という意味なのだとか。
サラダ油が日本で初めて発売された大正時代、食用油は揚げ物などに使われるのが主。ですが西洋では、食用油に酢や塩を加えたものを、ドレッシングのように生野菜にかけて食べる習慣があったそうです。そこで、生食で利用してもらえるように、不純物を取り除く精製という工程の度合いを高めた質の良い食用油のことを、サラダ油と命名したのだそうです。
■「サラダ」の味のサラダ味……!?
こうして、サラダ油が使われた塩味の商品が、お菓子業界ではサラダ味と呼ばれるようになっていったそうですが、例外もちらほら。例えば湖池屋は、その名もズバリ「ポテトチップス サラダ」という商品を、2017年に発売しています。これは、表面にパセリがちりばめられていて、ドレッシングのような酸味を感じられるチップスだったそうです。
他にも、さまざまなメーカーから、野菜サラダをモチーフとしたスナック菓子が生み出されています。これから先のサラダ味は、本当に野菜サラダの味がするというのが、主流になっていくかもしれませんね。