■結婚15年、妻は夫に無関心
結婚して15年、13歳のひとり娘がいるタカノリさん(44歳)。妻は3歳年上だ。娘が産まれてからは、妻の要望で寝室を別にしてきた。
「それでもたまには一緒に寝たいんですよ。だけど妻はいっさい拒否。話し合おうとしても、『私はしたくない』の一点張りなんです。あげく、『外ですませてきて』って。本心だと思ってなかったから、その後も誘ってはみたんですが」
8年ほど前、妻はついに「金輪際、その話はしないでほしいの。本当に外ですませてくれればいいから」と懇願するように言った。
家の中で会話がないわけではない。娘を交えて、遊園地に行ったり外食をしたりはする。妻も仕事を続けているから、休みの日はめいっぱい娘と接しているのがわかる。そんな妻に敬意を抱いているからこそ、男女としての関係もほしかったと彼は言う。
それでも拒否しているのを無理にというわけにもいかない。結婚前、ごくまれに風俗へ行っていたタカノリさんは、しかたなくまた風俗へ通うようになった。
「どこか虚しさを感じつつ、家庭に波風をたてないためには、これでいいんだと思うしかありませんでした」
■風俗の女性に恋愛感情、そして妻は…
ところが最近、少し風向きが変わってきた。タカノリさんが、風俗の女性に少しずつのめり込むようになってきたのだ。
「とっても温かい人柄の女性に出会ったんです。彼女といると心から癒やされる。もちろん、相手は商売で接しているだけですけど、『元気ないわね、何かあったの?』と聞いてくれる彼女に、情がわいてきています。恋愛感情ではないと自分に言い聞かせていますけれど」
同時に、妻のほうも「何か」が起こっているようだ。最近、午後になると「仕事が忙しくて残業なんだけど、早く帰れる?」というメッセージが来ることが多い。
中学生の娘をひとりきりにしておくわけにはいかないので、そういうときはタカノリさんが早く帰って夕食を作ることにしている。
「ただ、以前はそういうことが月に2,3回だったんですが、今は週に2回くらいあるんですよね。部署が変わったわけでもないし、何か大きなプロジェクトに取り組んでいるという話も聞かない。そういえば、最近、妻はあまり仕事の話をしなくなったのも気になります」
先日、電源が入っていた妻のパソコンを、ちょっと覗いてみた。するとある男性から、毎日のようにメールが来ているのを見てしまう。
「しかも、『また会いたいです』なんて書いてある。どういう関係なのかはわからないけど。もしかしたら妻はずっと不倫をしているのかもしれない、だから僕を拒絶しているのではないかとも考えられますよね」
タカノリさんの被害者意識は止まらない。自分は妻を女として見ているのに、妻は夫から女として見られたくないようだ。そんなことがあっていいのかとぼやき続ける。
彼は、自分が妻に疎まれていると思いたくないのだろう。他に誰かがいるから妻は自分を拒絶しているに違いないと思いたいのだ。そうでなければ、自分のプライドが保てないのかもしれない。ただ、タカノリさんは家庭を壊したくはない。だから妻を追求することは避けている。
「妻を追いつめたら離婚すると言われそうで怖いんです。平穏な生活を続けるためには、妻の“残業”を信じながらやっていくしかないんでしょうね」
彼は今も、妻に恋をしているのだろう。必死に妻を求めている雰囲気が彼の言葉の端々から感じられた。