■なんで海苔はお茶屋さんに置いてあるの?
現在では、街中で見かけることも少なくなってしまいましたが、お茶の葉を販売する伝統的なお茶屋さんでは、なぜか一緒に海苔を売るのが定番となっていますよね。なぜ、この一見不思議なお茶と海苔の組み合わせが、お決まりになっているのでしょうか。
その理由については諸説ある様子。ですが、現在までその伝統が続くことになったのは、旬の季節が違うことが、大きく影響しているようです。なんでも、新茶が収穫されるのは4~5月であり、10月頃までにはほとんどのお茶の生産が終わってしまうそう。対する海苔の生産は、11月頃に始まって3月頃に終わるそうで、その時期がまったく被っていないんですね。つまり、お茶の季節が終わってしまっても、代わりに海苔を販売することができるので、一年中商売が続けられるというわけです。
また、茶葉も海苔も湿気が大敵で、包装に適した素材がなかった昭和20年代頃には、どちらも保存に専門的な知識や管理体制が必要とされていたとのこと。そこで、似たような保管方法で取り扱える茶葉と海苔は、同じお店で売るのに都合が良かったというのも、一緒に販売されるようになった理由の一つだそうです。いずれにしても、とても合理的な考えのもとに、お茶屋さんで海苔が売られていたのですね。
■「海苔の日」はいつ? 海苔の語源は?
「海苔の日」として制定されているのは2月6日。これは、全国海苔貝類漁業協同組合連合会という組織が1966年に定めたもので、この日には広く海苔をアピールするためにイベントを行ったり、パンフレットを配布したりしてきたそうです。
この日を記念日としたのは、日本最古の本格的な法典といわれる大宝律令が由来。701年に制定されたこの法典では、朝廷に収める租税の一つとして海苔が表記されているのだとか。古来より海苔が、日本人にとって重要な産物とされてきたことがうかがえるこの史実に基づいて、大宝律令が施行された日を西暦に換算し、2月6日と決めたそうです。
海苔という言葉の語源も、「潮に乗るものだから“のり”」、「海中で布に見えるから“ぬのうみ”と呼ばれていたのが訛って“のり”になった」など諸説あるようです。なかでも有力なのは、ぬるぬるしているという意味の「ぬら」という語が変化して、海苔になったという説なんだとか。余談ですが、さまざまなものをくっつける「糊」も、同じ語源を持つ言葉だと考えられているそうですよ。