『マイナビニュース』が、現在放送中の連続ドラマ『警視庁0係〜生活安全課なんでも相談室〜SEASON4』(テレビ東京系)で、主演の小早川冬彦刑事役を務める俳優の小泉孝太郎(39)のインタビュー記事を配信していた。
空気は読めないが、事件は読めるエリートキャリアの無邪気なKY刑事──なかなかに適役で、私も何度か観たことがあるけれど、一歩間違えたら“嫌なヤツ”にもなりかねないデリケイトな役どころを、持って生まれた“育ちの良さ”を小出しにしながら好演しており、ストレスなく視聴できる安定度抜群の仕上がりとなっている。
本インタビューは完璧な番宣モノで、小泉のコメントも「ドラマについて〜」が大半を占めているが、それでも以下に挙げるように、いくつかは小泉の“役柄”ではなく(素の)“人柄”がチラリかいま見られる箇所もあった。
(「デビュー時は現役総理大臣・小泉純一郎の息子ということで、色眼鏡で判断されることもあったのでは?」との質問に対して)
そこは覚悟していました。でも、当時の自分もかなりKYだったんでしょうね。そういうKYなところがなかったら、総理大臣の息子が芸能界には入らない(笑)。そこをぱーんと突き抜けて、「自分はこれをやりたい、俳優・小泉孝太郎になりたい」と思って(芸能界に)入ったので、想像通りでした。自分自身に「こんちくしょう」と思うような悔しさも必要でした。いまになって考えると、自分にKYなところがあってよかったなと思います。
(「そういう声が気にならなくなったのは、いつごろからか?」との質問に対して)
最初から、「一瞬だろうな」とは思っていました。自分が力をつければ、おそらく言われなくなるだろうなと。そのときは、そうやって都合良く解釈したのかもしれません。
(「現在41歳になって、これから50代60代になったときのことを考えるか?」との質問に対して)
そこまでは考えていないです。どんな仕事が待ち受けているんだろうと考えるくらいで。僕らの仕事は受け身なので、オファーがないと仕事ができないんです。(中略)ただ、芸能界が好きなので、50代60代になっても芸能関係の仕事はしていたいですね。
おそらく、犯罪クラスのスキャンダルでも引き起こさないかぎり、あるいは小泉自身が「芸能界をやめたい」と心変わりでもしないかぎり、息の長い俳優として生き残ることはできるに違いない。
もちろん、小泉の彼にしか表現できない独特な演技力は、私だってちゃんと評価している。ただ、「演技力」のみでは乗り越えることができない“壁”もあるのが役者の世界、芸能界でもあり、それだけで「小泉孝太郎」を語るのは、やはり言葉足らずな感が否めない。
私が考える「小泉孝太郎力」とは、ズバリ「絶対に干されはしないこと」──コレに尽きるのではないか。なんせ、“干す側”の権力よりも父親の権力のほうが、いまだに圧倒的に勝っているわけですから……そういう意味では、国民的英雄・長嶋茂雄を父親に持つ長嶋一茂の「一茂力」も同様のたぐいなのかもしれない。
そりゃあ、小泉孝太郎や一茂が、現在でも親から仕送りをもらったり、番組やドラマのキャスティングに親がいちいちしゃしゃり出たりする……なんてことは、さすがにないだろう。しかし、隠然として芸能界、いや日本国中にただよう父親による“無言の圧力”が、この上ないバックアップとなっているという事実は、見逃すことができない。
「干されない」だけで十分! それだけで、小泉孝太郎や一茂は、並みいる芸能人の何倍も「来たオファー」と強気な姿勢で向き合うことができる。そして、こんなナチュラルボーンな環境を最大限活用するのは、「(間接的な)親のすねかじり」と呼ばれようが、どんな職種に就いても「すごくいいこと」だと私は思っている。