同じ女性に3回もプロポーズ、そのたびに断られているのに、それでも彼女をあきらめきれず、ついに40代に突入してしまったマサトさん(40歳)。今後、彼はどうするのだろうか。
■友人との関係を心配して
「彼女とは縁があるんだと思うんです」
マサトさんはまじめな表情で、言葉に力をこめた。
2歳年下の彼女は学生時代のサークルの後輩。当時から彼は彼女が気になっていたが、彼女は彼の同級生とつきあいはじめる。
「友だちの彼女だから、ふたりを見守るしかなかった。だけど彼が浮気をして彼女を泣かせたときは怒りましたよ、僕」
彼女には感謝されたが、マサトさんは自分の思いを伝えることはなかった。
「彼女が就職したころかな、当時のサークル仲間がときどき会うようになった。彼女も例の僕の友人が誘って来るようになりました」
そのふたりが結婚すると噂が流れたのは卒業から5年後。マサトさんは友人から「別れるつもり」だと聞いていたのだが。
「彼女を呼び出して、僕はヤツの友だちだけど、きみがヤツと結婚して幸せになれるかどうかわからないと告げました。ヤツは学生時代からの浮気癖が続いていたから。彼女はうつむいて何も言わなかった。だから『オレとつきあおう、結婚を前提にして』と言ったんです」
ただ、彼女はすでに妊娠していた。それを知って、マサトさんは身を引いた。ところが彼女と友人は結婚しないという結論を出したという。
「彼女はシングルマザーになる道を選んだんです」
しかし、原因はわからないが、なんと彼女は死産という不幸に見舞われる。マサトさんも、その話を聞いて心を痛めた。
■彼女が結婚、そして離婚
マサトさんは失意の彼女を慰め続けた。彼女は少しずつ心身の健康を回復、仕事も始めて前を向けるようになっていった。
「彼女が30歳くらいのときだったか、珍しく改まって『本当にありがとう。あなたには感謝してもしきれない』と言われました。だから『じゃあ、オレと結婚しようよ』と言ったんです。そうしたらなんとすでにつきあい始めた人がいるという。しかも彼とは結婚を考えているって。どうしてオレじゃないんだと思いながら、そのときも自分の気持ちは引っ込めました」
彼は結婚式にも招待された。目の前で彼女のウエディングドレスを見るのはつらかった。だが彼女が幸せになるなら、と自分を慰めたという。
「それからもつかず離れず、友だち関係は続きました。彼女が出産したときも、実はダンナさんより先に駆けつけたのは僕。まあ、出産に来ないくらいだったから、それから4、5年で離婚ということになりましたけど」
離婚した彼女に、マサトさんは3回目のプロポーズ。だが彼女の答は、「あなたとは結婚しないほうがいいと思う」だった。
「僕のプロポーズを、彼女はいつも冗談にしてしまうんです。僕は本気なんですけどね。それでいて、何か困ったり悩んだりすることがあるとすぐに連絡してくる。そして僕は駆けつける。ずっとそういう関係なんです」
現在、彼女は実母と娘の3人暮らし。必死に働いているが、疲れると連絡してくるという。彼は彼女の愚痴を聞き、ひたすら慰める。ふたりの間には、1回たりとも“過ち”はない。友だち以上恋人未満という関係なのだ。
「彼女と連絡を絶って、僕は僕で結婚したほうがいい。理性ではそう思うんです。だけど気持ちは彼女からの連絡を待っている。彼女に弄ばれているのか、あるいは僕の立場は彼女の中でもう固定化して変わらないのか」
そもそも、彼自身、彼女への気持ちを断つことなどできないのではないだろうか。誰かとつきあっても、結局は続かず、彼女を待ってしまうというマサトさん。
「何が僕にとって本当の幸せなのか、わからなくなっています」