
「開業したばかりの蓮田SAに一般道から来たけど、平日なのに駐車場激混みでなかなか入れず(怒)」
「近くにきたので蓮田SA行くか?と思ったが、リアルタイム道路情報でド渋滞→外の駐車場いっぱいだろうと断念」
これ、7月29日に開業したばかりの東北自動車道 蓮田サービスエリア(上り線)「Pasar蓮田」に行ってみた人たちの、Twitter悲報。
「NEXCO東日本エリア最大級」という触れ込みでグランドオープンした途端、こんな声が聞こえてくるとは……つくったNEXCO東日本もうれしいやら辛いやらで。
なにが激混みかっていうと、高速道路外・一般道からの入場者むけ駐車場。それがこの画像。従来の一般道側ゲート前の駐車場よりも、はるかに大きい。90台もあるのに、なぜこんなに混む。人が殺到する。
だいたい、新しい高速道路サービスエリアができるというと、「高速道路初出店」とか「西日本初出店」とか「NEXCO東日本エリア初出店」といったアオリの店舗にばかり目が行くよね。でもここ新 蓮田SAは違う。
それは、こんなTwitterの声がヒント。
「ちっちゃめのイオンくらいありますか?」

そう。新 蓮田サービスエリアは、イオン化してる。一般道側駐車場からエントランスを抜けると、いきなり広がってるのが生鮮売り場。
見出しの声のように、新 蓮田サービスエリアは、まるでイオンの食料品フロアに似た光景が広がってる。高速道SAに青果・精肉・鮮魚の専門店がそろってるフロアが出現したのは、全国の高速道路で初めてのできごとらしい。
もちろん、フードコートには例のごとく「高速初出店」「NEXCO東日本エリア初」をうたう人気店が軒を連ねる。でも地元の人たちは入店するとまず、スーパーマーケット客と同じく、買い物かごを手にする……。
こんな具合で、地元の人たちがまるで自分の街にイオンができたような興奮度で、押し寄せているってわけ。これにはNEXCO東日本も想定外だったようで、「ピークをさけて来てみて」と。で、大型ショッピングモール化するサービスエリアの「もういっぽうの横顔」がこれ。
■旧蓮田SAから2.6km東京寄りに用地取得、開かれた新SAへ
これまで「新」蓮田サービスエリアと記しているのは、実はここがもともとあった蓮田サービスエリアじゃないってこと。旧 蓮田SAは、JR蓮田駅(東北線)周辺の市街地から2.6km北、元荒川の対岸に位置する。
こんどの新 蓮田SAは蓮田駅側にぐっと近づき、旧 蓮田SAから2.6km東京寄りに出現した。ってことで、蓮田駅周辺の市街地に近づき、蓮田SAをイオンと同じような存在感にまで高めたってわけ。その副産物もいろいろ登場し、JR蓮田駅と新 蓮田SAを結ぶ定期シャトルバスも1日10往復で走り出した。
きれいなスーパーマーケットもあるし、仙台名物牛たん老舗があるし、スタバがあるし、すた丼もラーメンもパンもスイーツもある……。だからいままで以上に注目されるし、「大型SCが田んぼのどまんなかにできたレベル」で周辺地域の人が押し寄せるってことか。
こうした、地域に開かれた高速道路サービスエリアの進化は、商業施設だけじゃない。災害時の中継機能という役目を担うべく、防災倉庫やヘリポート、自家発電設備、井戸水設備などを備える。フードコートは共同災害対策室になる。
で、ここで気になるのが、旧 蓮田サービスエリアのゆくえ。

■旧SAで残すもの残さないもの。新SAに追加したいもの
実はこの旧 蓮田サービスエリア、ETCをつけたクルマで旧SAを利用していた人にとっては、「旧SAが閉鎖されても維持してほしい」という機能がある。それは、ETC専用インターチェンジ「スマートIC」。
旧 蓮田SA下り線(仙台方向)は出口が、上り線(東京方向)には入口(東京方面)がある。東京方面と蓮田エリアを行き来するETC利用ドライバーは、このスマートICが重宝した。
そんなわけで、旧 蓮田サービスエリアの商業施設などは閉鎖するけど、スマートICはこれまでどおり稼働させる。こうなるとさらに気になってくるのが、「なぜ新 蓮田SAにスマートICを設置しなかったのか」だ。
これについてNEXCO東日本に聞いてみると、「高速道路の出入口は、高速道路会社だけで決められるものではなく、自治体をはじめとした各方面と協議したうえで決められる」ってことで、蓮田市などが今後、「東北方面・東京方面の双方に出入りできるフル規格のスマートICを設置するかどうかなど協議していく可能性はある」と。
■コワーキングスペースやUberも、いけるんじゃね

高速道路と一般道、サービスエリアと市街地。その段差が軽減されていくトレンドをみた気分。初日はぴかぴかの新 蓮田サービスエリアをひと目みようと、地元のおじいちゃんおばあちゃんが訪れる姿があったらしい。
そのシーンを浮かべながら、思い出した。そういえば、富士急ハイランドはことし春、入園料無料化にふみきり、遊園地と周辺地域の段差をなくした。そうしたら、富士急ハイランドがおじいちゃんおばあちゃんの集いの場として認知され始めて、フードコートやカフェで過ごすおじいちゃんおばあちゃんが増えて、売上が微増したとか。
ひょっとしたらこの先、高速道路サービスエリアなどにコワーキングスペースや保育園、学校もできるかもしれない。Uberが日本にやってきたら、SA・PAにクルマを呼んで高速道路を伝って都心や空港へむけて突っ走る……そんなシーンを目の当たりにするのも、そう遠くはないかも。