2019年4月2日の朝7時過ぎ──私は“いつも”のとおり、ワクワクと胸を躍らせながら、近所のローソンへと向かった。言わずもがな、前日4月1日は日本政府が新元号「令和」を発表した、日本人にとっては歴史的な“記念日”であり、こういうときは……そう! 「○年に一度の皆既日食」「×年に一度の△△彗星」みたいなお宝的確率で“アレ”が見物できる……かもしれない。
さっそくローソンの新聞棚をチェックしてみる。読売・朝日・毎日・産経……などの全国紙はもちろんのこと、スポーツ新聞も軒並み一面は令和・令和・令和……のオン・パレードであったが、やっぱりデイリースポーツはヤッてくださいました!! 一面は、
矢野監督
玉砕指令
……である。その横には
就任後初伝統の一戦「3連勝したい」
平成最後の東京D決戦
超巨大打線逃げずに攻める!
次カード王者・鯉もぶっ倒し勢いつける
……なるサブキャッチがおどっている。前日阪神が勝利したわけではない……どころか、試合すらあったわけでもないのに、この日から始まる巨人戦についての、矢野新監督のどーでもいい決意表明を“トップ記事”として扱っているのだ。
G倒指「令」で
セ界平「和」やの〜
……といった、意味不明かつ無理くり極まりない令和ネタが辛うじて綴られてはいたものの……。矢野サンの玉砕感あふるるポーズと表情&遠い目も最高! 相変わらずの「素晴らしい仕事ではないか!」と溜飲を下げつつこれからの草野球へと、ユニフォーム姿で電車に乗って勇んで向かう。ライト前に一本、内角低めを払うワザありのクリーンヒットを打った。
さて。読売新聞社が4月1〜2日に実施した緊急全国世論調査によると、新元号の「令和」に「好感を持っている」と答えた人は62%で、「なじみにくい感じを持っている」の31%を上回ったという。また、新元号が日本の古典『万葉集』から引用されたことを「評価する」と答えた人は88%と高い割合を示した……らしい。おおよその日本国民は「令和」をポジティブに受け入れているということ、か?
「令和」に対する私の個人的な感想を述べるなら……「まだよくわからない」というのが率直なところだったりする。とりあえず「令和」に込められた根拠や背景を一切無視してファーストインプレッションのみで語ってみると、以下のような違和感と好感を指摘することができる。
【違和感】
・ 「和」が「昭和」とかぶっている(「昭和」「平成」「令和」…だとあまりに期間が短すぎ?)
・ 「令」をもって「和」を尊ぶ…みたいな意味合いに取られ、よりコンプライアンスとかに敏感な社会を予見させられる(=堅苦しいイメージ)
・ 最初にくる文字の先っちょが尖っている(なんとなく男性的で柔らかみに欠ける)
【好感】
・ ソリッドでビジュアル面での全体的バランスは美しいと思う
・ 「レ」(ラ行)の響きが今っぽくて音感的にも秀逸
・ 最初にくる文字の先っちょが尖っている(少なくとも「明治」「大正」「昭和」「平成」にはなかったパターン)
「昭和」と「和」がかぶっている以外は、どれも長所にも短所にもなりうる表裏一体的な要素を含んでいる。だから(良いのか悪いのかが)「まだよくわからない」。現時点ではパソコンで「れいわ」と打っても「例話」「零和」としか変換されない。これが当たり前のように「令和」と変換され、請求書などに「令和」と記すのがルーティンとなったころ、我々の感覚……というよりは「時代」が令和なカンジへと馴染んでいくのだろう。