「くらしとお金にまつわる経済ニュースをわかりやすくかみ砕いてお届けする」ことを主旨とするそうな、私にとっては初見のウェブサービス『LIMO』に、『消えた「スポーツ新聞おじさん」〜昔は電車の中で何をしていた?』なるタイトルの記事があった。
『株式会社オンラインスクール』が、働く男女1000人を対象に行った調査(2018年9月19日発表)をいろいろと分析した内容で、「消えたスポーツ新聞おじさん」というワードが私のアンテナに引っかかったため、さっそく読んでみたのだが、
「(今回の調査では)着席時・立席時に紙の新聞を購読している人は6%台という結果になっています」
……の一言だけで片付けられており、ちょっとガッカリしてしまった(せめて、10年前だとか20年前のデータと対比してほしかったw)。
ちなみに、通勤電車に座ることができた場合の過ごし方は1位が「仮眠・休憩」で、2位が「ニュースサイトの閲覧」、いっぽう立っている場合は1位が「ニュースサイトの閲覧」という結果に。いずれにせよ、「ニュースサイトの閲覧」をはじめとし、SNSや買い物・動画閲覧・ゲーム・音楽試聴……ほか、「通勤電車の過ごし方は劇的なスピードでスマホへの依存度が高くなった」ってことである。たしかに、最近は紙の印刷物を読んでいるヒトが一車両に一人もいなかったりするのも全然珍しくないですし……。狭い席で肘を精一杯鋭角に曲げ、スポーツ新聞を複雑に重ね折りしながら朝っぱらからスポーツ新聞のエロページで悶々していた、または隣に座ってそーいうことをしているオジサンの紙面をチラチラ盗み見していると、露骨なガードで微妙に角度を変えられて……そんなせめぎ合いの時代が懐かしい……。
ところで、アメリカで初代のiPhoneが登場し、日本ではまだスマホがほとんど普及していなかった2007年、『ネットエイジア株式会社』が東京都在住の男女に対して行った調査における「通勤電車の過ごし方」(※複数回答可)では、3人に一人が「考えごと」(35.0%)と答えたのだという。
さらに溯った2002年、JR東日本が12歳〜69歳の男女に対して行った調査調査における「平日の電車内の行動」(※複数回答可)では、34%が「ぼーっとした」、23%が「景色を見た」、14%が「周りの人観察」と回答したらしい。
今どき、スマホを家に忘れて通勤・通学する人なんてほぼ皆無だろうけど、スマホがなければ紙の印刷物を読む以外にも、こんなにいっぱいやることがあるんだ……ってことを、あらためて気づかされた。同記事は、
電車の中で時にはぼーっとしつつ、偶然乗り合わせた、もう二度と会うことがないかもしれない乗客の心と自分の心を重ねてみることは、共感力を磨くために大切なことだと言えるのではないでしょうか。
……と、文を〆ているが、スマホの万能性が、こういった“無駄な時間”を消滅させてしまったことが、はたして良いことなのか悪いことなのか、私にはよくわからない。ただ、スマホに馴染んでそのスキルが高くなればなるほど、つまり、スマホをより効率的に使いこなせるようになればなるほど、たとえば一人でラーメン屋に入ってラーメンが出てくるまでや、見知らぬバーに一人でふらりと立ち寄ったときの“時間のつぶし方”が見る見る下手になってきているのは、たぶん間違いない……。